2025.4.25

《都市のヴィジョン Obayashi Foundation Research Program》の第 5 回助成対象者がホー・ルイ・アンに決定

公益財団法人大林財団が実施する、制作助成事業《都市のヴィジョン Obayashi Foundation Research Program》の第 5 回助成対象者が決定。シンガポール出身の現代美術、映画、パフォーマンスなどで活動するアーティスト、ホー・ルイ・アンが選出された。

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 公益財団法人大林財団が実施する、制作助成事業《都市のヴィジョンー Obayashi Foundation Research Program》の第 5 回助成対象者が、シンガポール出身のアーティスト、ホー・ルイ・アンに決定した。

 本事業は、「都市」を表現のテーマにする国内外のアーティストの活動支援をすることで、新しい都市像を提示する機会を生み出すプログラムである。2017年度にスタートし、今年で5回目を迎える本事業は、従来の都市計画とは一線を画す都市像を、アーティストならではの目線で提案されることを促す。東京オペラシティ アートギャラリー シニア・キュレーターの野村しのぶを選考委員長とし、計5人の推薦選考委員の推薦に基づいて決定された。

 過去には、会田誠(第 1 回)、シアスター・ゲイツ(第 2 回)、エキソニモ (第 3 回)、イム・ミヌク(第 4 回)が選出されている。

 今回選出されたホー・ルイ・アンは、シンガポール出身のアーティストで、現代美術、映画、パフォーマンス、理論の交錯点で活動するアーティスト兼ライター。レクチャー・パフォーマンスや映像という表現方法で、グルーバル時代の統治システム下での労働、テクノロジー、資本の関係性を探求している。

 過去には上海ビエンナーレ(2023)、バンコク・アート・ビエンナーレ(2020)、光州ビエンナーレ(2018)、ジャカルタ・ビエンナーレ(2017)、シャルジャ・ビエンナーレ 13(2017)、コチ・ムジリス・ビエンナーレ(2014)や、ナショナル・ギャラリー・シンガポール(2022)、クンストハレ・ウィーン(2021)、山口情報芸術センター[YCAM](2018)、ハオス・デア・クルトゥーレン・デア・ヴェルト(ベルリン、2017)などでプロジェクトを発表している。

《A Petropolis in a Garden with a Long View》(2024)Courtesy of A+ Works of Art, Photo: Quinn Lum
《Figures of History and the Grounds of Intelligence》(2024)Courtesy of A+ Works of Art, Photo: Quinn Lum

  今回ホー・ルイ・アンを選出した理由として、選考委員長の野村しのぶは以下のようにコメントしている。

 「『価格』を基軸に東アジアおよび東南アジア地域を展望し、歴史的な条件が現代の国家と市場メカニズムに与える影響を研究・考察するホーの視点は、『メタ市場』という都市を形づくる重要かつ見えない基盤を浮かび上がらせるものです。アーティストならではのナラティヴによって、今回の研究が都市と現代社会にどのような光を当ててくれるのか。 これまでの採択者のなかでもっとも若い世代のアーティストからの新鮮な提言に期待を寄せています」。

 なお、アーティストの提案は展覧会、トークイベント、パフォーマンスなどその回にあわせた形態で成果発表をするほか、記録冊子(部数限定)も発行。今後のホーの活動に注目したい。