坂倉準三建築の名作がホテルとして再生。公共図書館と一体となった新しいかたちの宿泊施設
モダニズム建築の巨匠・坂倉準三による、三重県伊賀市の市指定文化財である旧上野市庁舎。今回新たにその施設が再生され、スモールブティックホテル「泊船(はくせん)」として、7月21日に開業する。公共図書館との一体型複合施設という新しい文化拠点のかたちについても触れながら、その様子をレポートする。

三重県伊賀市の市指定文化財である旧上野市庁舎は、1964年にモダニズム建築の巨匠・坂倉準三によって建てられた。今回新たにその施設が再生され、スモールブティックホテル「泊船(はくせん)」として、7月21日に開業する。本施設は、公共図書館との一体型複合施設となっている点にも注目したい。
坂倉準三が手がけた旧上野市庁舎
坂倉準三は、ル・コルビュジエに学び、日本のモダニズム建築を牽引した建築家。1931年のパリ万博で国際的に注目が集まり、その後個人住宅にとどまらず、公共建築も手がけた。坂倉は一貫して「建築は生きた人間のためのものである」という哲学のもと、建築を人間や社会の営みに寄り添う“器”ととらえていた。
当時の上野市(現・伊賀市)の市長であった豊岡益人は、そんな坂倉の建築に魅せられ、1959年に旧上野市の都市計画を依頼した。その一環で1964年に建てられたのが、旧上野市庁舎である。
