国際芸術祭「あいち2025」の注目作品をめぐる。「灰と薔薇のあいまに」をテーマに62組参加
「灰と薔薇のあいまに」をテーマに、世界22の国と地域から62組の現代美術とパフォーミングアーツのアーティストが参加する国際芸術祭「あいち2025」。その現代美術展から、主要作品を紹介する。

旧「あいちトリエンナーレ」時代を含め、2010年より3年ごとに開催され、今回で第6回を迎える国際芸術祭「あいち」。「灰と薔薇のあいまに」をテーマに、79日間の会期が幕を開けた。参加作家は世界22の国と地域から62組。主な会場は従来通りの愛知芸術文化センターに加え、今年は愛知県陶磁美術館、瀬戸市のまちなかだ。またパフォーミングアーツでは、テーマ「灰と薔薇のあいまに」を掘り下げ、「自然と人間の関係」「戦争と記憶」「支配と不均衡」の3つの問いを軸にプログラムを構成し、毎週末公演が行われる。
2回目の「あいち」で芸術監督を務めるのはシャルジャ美術財団理事長であり、国際的に活躍するフール・アル・カシミ。本展のテーマは、モダニズムの詩人アドニスが1967年の第三次中東戦争時に残した詩からとられたもの。アル・カシミは開幕に当たり、パレスチナをはじめとする世界各地で起きている戦禍について言及しつつ、「感情があふれるような展示になっている。多くの作品からつながりを感じてもらえれば」。
また今回、以下のステートメントが提示されたことも大きな特徴と言えるだろう。
国際芸術祭「あいち2025」は、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」(2007年)をふまえ、すべての先住民族および先住民のアイデンティティをもつ人々の際定文化、権利、そして尊厳を尊重します。また、民族や国籍、人種、皮膚の色、血統や家柄、ジェンダー、セクシャリティ、障がい、疾病、年齢、教など、属性を理由として差別する排他的言動や、その根幹にある優生思想(生きるに値しない命があるというあらゆる考え方)を許容せず、この芸術祭が、分断を超えた未来につながる新たな視点や可能性を見出す場合なることを目指します。