EXHIBITIONS

水戸部七絵:Study of Dansaekhwa / Dansaekhwa

2025.03.05 - 03.16, 2025.03.21 - 04.20

水戸部七絵 Study of Dansaekhwa 2024 キャンバスに油彩 41 × 31.8 cm

 アートフロントギャラリーで「水戸部七絵:Study of Dansaekhwa / Dansaekhwa」が2会期にわたって開催されている。

 水戸部七絵は神奈川県生まれ。現在、ウィーンと日本を拠点に作家活動を行なっている。2011年に名古屋造形大学を卒業、画家・長谷川繁に師事。2022年から23年、ウィーン美術アカデミーに交換留学し、アラステア・マキンブンに師事。2024年に東京藝術大学大学院を卒業。画家・小林正人に師事する。

 本展では「Dansaekhwa(ダンセクファ)」をテーマに水戸部七絵の新しい挑戦を発表している。

 ダンセクファとは、1970年代の韓国の芸術家たちによって実践された絵画形式で、モノクローム絵画を意味する。しかし、視覚表現だけではなく、精神やパフォーマンスといった多様な形式と素材を特徴としている。ダンセクファは日本語で「単色画」と訳されるが、先駆者たちの作品を参照すると、たんに色数の少ない絵画ということではなく、色数を絞ったことで、より物質的に、身体的に体感できる作品が多いとしている。

 水戸部はこのダンセクファを、2024年末から2025年にかけ参加した韓国廣州京畿道のヨンウン美術館のレジデンスで知った。これまで水戸部は、多彩な色と、重圧感のある盛り上がった絵具が印象的な絵画作品を発表してきたが、今回「ダンセクファ」の見識を深めたことにより「色数を絞ることで伝えたいことをより強く表現できるのではないか」と新しい挑戦への意気込みを語った。

 また、作品の絵具の持つ物質性や、たんなる支持体としてではないキャンバスの可能性を追求し、物質性絵画において「身体」という物理的なアナロジーがダンセクファを理解するうえで重要であると確信したとも述べている。

 本展では、色を絞るという新しい試みに加え、物質的、身体的に語りかける、より強度のある作品を展開する。

「第一期:Study of Dansaekhwa」は、ヨンウン美術館のレジデンスで制作した絵画作品を発表。約3ヶ月のレジデンスでは、ダンセクファ(単色画)と言っても、たんにシンプルな画面を真似るのではなく、水戸部独自のダンセクファを目指すべく、徐々に色を減らしながら、抽象化した人物画の習作を約50点が描かれた。第一期では、そのなかから選りすぐりの数点と新作を展示している。

「第二期:Dansaekhwa」では、日本に帰国後、ダンセクファの研究と体験をより自身の作品へと昇華させ制作した最新作を発表。幅2.5メートルを超える大作は、絞られた色彩とその絵具の物質間によって、新たなる水戸部作品の新シリーズを見せる。第二期では、日本帰国後の最新作約10点を展示予定だ。