EXHIBITIONS
佐藤春夫の美術愛
和歌山県立近代美術館で「佐藤春夫の美術愛」が開催されている。
和歌山県新宮市に生まれた佐藤春夫(1892〜1964)は、明治から昭和にかけて、詩や小説の創作を中心に文学の世界で大きな足跡を残した。同時に春夫は、「二十のころの希望は文学と美術とのふたつに分かれていた」と回想しており、若き日に抱いた美術への憧れを生涯持ち続ける。
昨年度、同館は春夫が所蔵していた美術作品61件148点の寄贈を受けた。本展はそれを記念し、春夫ゆかりの美術作品を展覧している。
春夫は新宮で育った少年の頃、詩書画に関心の高い父の影響を受けつつ、大石誠之助や西村伊作らがもたらした新しい思想や文化にもふれる。さらに同地を訪れた石井柏亭ら一流の美術家や文化人との交流を通して、文学とともに美術への関心を深めた。上京後には自身の肖像画制作を通して高村光太郎と親交を結ぶなか、自らも絵筆をとって絵画の制作を始め、設立されたばかりの二科展では連続入選を果たす。
自著の装幀や挿画は美術家と共同で仕事をする機会を生み出し、それが若い美術家の支援にもつながった。なかでも大正から昭和の戦前期にかけて、木版画で特異な幻想の世界を描き出した谷中安規とは特別な交流が生まれ、春夫の手元には多くの作品が残された。本展では、詩情溢れる木版画を手がけた川上澄生の作品、また里見弴、武者小路実篤とシリーズを分けあったゴヤの連作版画集「ロス・カプリーチョス」など、春夫が愛蔵した版画も数多く紹介。
なお、同館では「MOMAWコレクション 和歌山ゆかりの作家と近代の美術」(~2025年6月29日)、「MOMAWコレクション 現代の美術」(~2026年4月5日)も同時開催中だ。
和歌山県新宮市に生まれた佐藤春夫(1892〜1964)は、明治から昭和にかけて、詩や小説の創作を中心に文学の世界で大きな足跡を残した。同時に春夫は、「二十のころの希望は文学と美術とのふたつに分かれていた」と回想しており、若き日に抱いた美術への憧れを生涯持ち続ける。
昨年度、同館は春夫が所蔵していた美術作品61件148点の寄贈を受けた。本展はそれを記念し、春夫ゆかりの美術作品を展覧している。
春夫は新宮で育った少年の頃、詩書画に関心の高い父の影響を受けつつ、大石誠之助や西村伊作らがもたらした新しい思想や文化にもふれる。さらに同地を訪れた石井柏亭ら一流の美術家や文化人との交流を通して、文学とともに美術への関心を深めた。上京後には自身の肖像画制作を通して高村光太郎と親交を結ぶなか、自らも絵筆をとって絵画の制作を始め、設立されたばかりの二科展では連続入選を果たす。
自著の装幀や挿画は美術家と共同で仕事をする機会を生み出し、それが若い美術家の支援にもつながった。なかでも大正から昭和の戦前期にかけて、木版画で特異な幻想の世界を描き出した谷中安規とは特別な交流が生まれ、春夫の手元には多くの作品が残された。本展では、詩情溢れる木版画を手がけた川上澄生の作品、また里見弴、武者小路実篤とシリーズを分けあったゴヤの連作版画集「ロス・カプリーチョス」など、春夫が愛蔵した版画も数多く紹介。
なお、同館では「MOMAWコレクション 和歌山ゆかりの作家と近代の美術」(~2025年6月29日)、「MOMAWコレクション 現代の美術」(~2026年4月5日)も同時開催中だ。