EXHIBITIONS

白木麻子「Water Mirror」

2025.06.13 - 07.27

Asako Shiroki Evergreen 2023 Glass, essential oil, silver

 Gallery 38で、白木麻子による個展「Water Mirror」が開催されている。

 白木麻子は1979年東京都生まれ。現在はドイツ・ベルリンと東京を拠点に活動。木をはじめとする様々な素材を用いた彫刻や、自然物などを別の知覚世界にいる他者として取り入れたインスタレーションを制作してきた。元々、日本で彫金を学んでいた白木は、金属という素材から木へと関心を広げ、木工を用いた彫刻作品から作家としての活動を始める。ドイツやフランス、デンマーク、韓国など様々な場所で滞在制作やリサーチを行いなが ら、次第に素材をコントロールして造形を生み出すことよりも、オーガニックな要素に内在する偶然性や抽象性を作品に取り入れるようになったという。

 今回の展示では、新作《Rooted in time, memories in bloom》を含む8点を展示。そのなかのひとつである《Evergreen》は、白木の新たな試みを表現する作品となっている。「『記憶』を呼び覚まし、新しい意味を『再生』していく作品」と作家が語る本作は、韓国と日本という二国間の歴史的関係、そして韓国人の夫をもつ作家自身の家族の記憶という文化人類学的アプローチを用いながら、「蒸留」というテーマを軸に写真作品、映像作品、21グラムの精油を注いだフラスコ、チェーンなどを用いて構成。

「私はつねに世界のどこかで、いまこの場所からは想像の及ばない問題に直面している人がいるという事実に、ほんの少しでも寄り添うことを目指している」という作家は作品制作を通して、「他者を想像し、まだ知らぬあなたに少しでも寄り添えることを信じて、霞の向こうに歩を進めていきたい」と語っている。