EXHIBITIONS

日比野克彦

ひとり橋の上に立ってから、だれかと舟で繰り出すまで

日比野克彦 わたしはちきゅうのこだま 2020年 写真提供:HIBINO SPECIAL

 水戸芸術館現代美術ギャラリーで「日比野克彦 ひとり橋の上に立ってから、だれかと舟で繰り出すまで」が開催される。

 1980年代前半、東京藝術大学大学院美術研究科修士課程デザイン専攻に在籍していた日比野は、ダンボールを素材にした作品でイラストレーションの概念を拡張し、立て続けに公募展の大賞を受賞して一躍時代の寵児となった。90年代には自らと向きあい、かたちのないものの表現を模索し、2000年代には関係性を探求するアートプロジェクトへと大きく舵を切った。

 10年代以降は美術館の館長、20年代はさらに大学長という役割を担いながら、美術を福祉、医療などとかけあわせ、ときに行政や企業とも連携して社会に結びつける実践を精力的に行っている。

 本展は、それらすべてをアーティスト日比野による芸術実践ととらえる観点から編まれたもの。本展覧会では、いくつものフィールドで活躍する日比野を、アーティストとして形成された過程を起点に、関わる人びとの視点や絵本、漫画を取り入れてながら紹介する。手つきや振る舞い、姿勢に着目することで、必ずしもかたちや物として残らない2000年代以降の活動も含め、日比野の拡張してやまない芸術実践に通底するものを探る。