公開制作vol.5　古橋まどか　野のさま

　長野県立美術館オープンギャラリーで「公開制作vol.5　古橋まどか　野のさま」が開催されている。

　公開制作は、アーティストが一定期間美術館に滞在して作品を制作し、その制作過程や完成した作品を見るプログラムである。vol.5である2025年度は、来訪先や、自身の庭で採集した土や石などの自然物のほか、映像などを用いて、時の経過とともに失われるものへ眼差しを向けた制作を手がける古橋まどかを招聘。

　古橋は、これまでも自身の赴いた先に制作の場を設けて、しばし生活もすることで、自身や、自身が関わりえた人々の営みが時を経て自然に包摂されていく様に着想を得てきた。今回の公開制作では、信州の自然、季節、暮らしに焦点をあてる。湖水の氷結や雪渓の融解、かつて産出した石油資源など、古橋が関心を寄せる対象は多岐にわたる。本企画のタイトル「野のさま」は、神様や仏様などを指して用いられる方言「ののさま」から来てるという。展示を通じて、様々な要素から紡がれる信州の野の様（ののさま）を見ることができる。