2025.10.12

文化の日に観覧無料となる美術館・博物館(2025年版)

11月3日は、「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨とする国民の祝日「文化の日」。この日にあわせて、展覧会の観覧無料を実施する美術館・博物館を紹介する。 ※プログラムは変更となる場合があるため、来館の際は各館の公式ウェブサイトを参照してほしい。

国立西洋美術館 外観
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東京国立博物館

東京国立博物館 外観

 東京・上野の東京国立博物館では、平常展にあたる「東博コレクション展」(通常一般1000円)が鑑賞無料となる。日本の美術、工芸、歴史資料を展示する「日本ギャラリー」(本館)や、土偶や銅鐸、埴輪などの考古遺物を展示し、石器時代から近代まで日本の歴史をたどることができる「日本の考古」(平成館)、そして東洋諸国の美術と工芸、考古遺物を紹介する「アジアギャラリー」(東洋館)などが対象となっており、日本にまつわる文化財を一望できるチャンスとなっている。

 なお、同館では現在、特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」(〜11月30日)も開催中。こちらは通常料金が必要だが、合わせて足を運ぶのもよいだろう。

住所:東京都台東区上野公園13-9
開館時間:9:30~17:00(金土、祝前日の日曜〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで

国立科学博物館

国立科学博物館 外観

 同じく上野の国立科学博物館は、日本館・地球館ともに常設展が無料となる。お馴染みの巨大な恐竜の化石や動物の剥製の展示はもちろん、大型映像も鑑賞したい。

 また、同館では、2027年の開館150周年を見据えて博物館活動のさらなる充実を図るための「寄付つき入館券」も販売中。購入者限定のオリジナル記念品も用意されているため、要チェックだ。

住所:東京都台東区上野公園7-20
開館時間:9:00~17:00  ※入館は閉館の30分前まで

国立西洋美術館

国立西洋美術館 外観

 東京・上野の国立西洋美術館では、常設展示が無料公開となる。同館設立の基盤となった「松方コレクション」の名品の数々と新収蔵作品から構成され、ピカソやモネなど近世の西洋美術の歴史で必ず目にする画家の作品が一堂に介する充実の内容だ。

 展示室内では、「フランドル聖人伝板絵―100年越しの“再会”」や、「物語る黒線たち──デューラー『三大書物』の木版画」も10月25日より開催される。

住所:東京都台東区上野公園7-7
開館時間:9:30~17:30(金土~20:00) ※入館は閉館の30分前まで

国立映画アーカイブ

 日本唯一の国立映画機関で国内最大のフィルムアーカイブである国立映画アーカイブは、企画展「映画監督 森田芳光」と常設展「NFAJコレクションでみる 日本映画の歴史」がともに無料になる。なお上映プログラムは有料となるので注意が必要だ。

住所:東京都中央区京橋3-7-6
開館時間(展示室):11:00〜18:30(金〜20:00) ※入室は18:00まで

印刷博物館

印刷博物館 内観

 東京・小石川にある印刷博物館では、すべての展示が無料になる。

 今年4月に館長に就任した京極夏彦による記念展示「京極夏彦と江戸期の版本」や、「太田記念美術館」「大東急記念文庫」「たばこと塩の博物館」「国文学研究資料館」「印刷博物館」の都内5館による連携企画で、江戸の名版元「蔦屋重三郎」の世界を紐解く「あれもこれも蔦重!お江戸の名プロデューサー蔦屋重三郎」といった展示が開催中。そして、日本で開催されている3つのパッケージコンクールの受賞作を紹介する「現代日本のパッケージ2025」も無料で鑑賞可能となっている。

住所:東京都文京区水道1-3-3 トッパン小石川本社ビル
開館時間:10:00~18:00 ※入館は閉館の30分前まで

神奈川県立近代美術館 葉山

神奈川県立近代美術館 葉山 外観

 日本で最初の公立近代美術館として、1951年に鎌倉の鶴岡八幡宮境内に開館した神奈川県立近代美術館。その後、2003年にこの葉山館が誕生した。

 文化の日は、同日まで開催されている写真家・上田義彦の公立美術館における約20年ぶりの展覧会「上田義彦 いつも世界は遠く、」が無料開放される。

住所:神奈川県三浦郡葉山町一色2208-1
開館時間:9:30〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで

神奈川県立近代美術館 鎌倉別館

神奈川県立近代美術館 鎌倉別館 撮影=木奥惠三

 鎌倉の鶴岡八幡宮とほど近い場所にある神奈川県立近代美術館の鎌倉別館では、11月1日より開催されるコレクション展「川口起美雄 Thousands are Sailing」が無料公開となる。川口起美雄(1951〜)の初期の代表作から初公開となる最新作まで、約40点の絵画とオブジェ作品が展示されるため、鎌倉への旅とあわせて足を運ぶのもおすすめしたい。

住所:神奈川県鎌倉市雪ノ下2-8-1
開館時間:9:30〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで

横須賀美術館

横須賀美術館 外観

 設計者である建築家・山本理顕がプリツカー賞受賞を記念したことでも話題を集めた横須賀美術館。11月3日は、その山本による過去最大規模の展覧会「山本理顕展 コミュニティーと建築」をはじめ、企画展「ブラチスラバからやってきた! 世界の絵本パレード」、2階ギャラリーの「小特集:朝井閑右衛門が描いた街と人間」、そして令和7年度第2期 谷内六郎〈週刊新潮 表紙絵〉展「海と灯台」がすべて鑑賞無料となる。開放感のある建築や海の眺めとともに楽しみたい。

住所:神奈川県横須賀市鴨居4-1
開館時間:10:00~18:00 ※屋上広場の開場時間は9:00〜19:00

国立工芸館

国立工芸館 外観

 金沢の国立工芸館では、20世紀を代表するイギリスの陶芸家ルーシー・リー(1902~1995)の大回顧展「移転開館5周年記念 ルーシー・リー展 ー東西をつなぐ優美のうつわー」を割引料金で鑑賞することができる。

 華やかな色彩と優美な造形が魅力のルーシーによる陶芸作品は、三宅一生による展覧会をきっかけに日本でも人気を博し、今日に至るまでファッション誌やライフスタイル誌などでも定期的に取り上げられている。会場では、同館に寄託された井内コレクションの作品を中心に、ルーシーが出会った人、もの、場所、そして時代背景を交えながら、作品が紹介されている。

住所:石川県金沢市出羽町3-2
開館時間:9:30~17:30 ※入館は閉館の30分前まで
割引料金:一般 1000円 / 大学生 700円 / 高校生 300円

京都国立近代美術館

京都国立近代美術館 外観 撮影=四方邦煕

 京都国立近代美術館では、コレクション展が無料で鑑賞可能になる。 

 現在コレクション・ギャラリーでは、「2025年度 第3回コレクション展」では、「印象派とその前後──近代フランスの風景画」「新収蔵品より:あるコレクターの写真との対話」「キュレトリアル・スタディズ16:荒木悠 Reorienting ―100年前に海を渡った作家たちと―」などをテーマに展示。また、10月7日より始まった企画展「没後50年 堂本印象 自在なる創造」(有料)にあわせて、「堂本家の人々と東丘社」というテーマでもコレクションを公開している。

住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町26-1
時間:10:00~18:00 ※入館は閉館の30分前まで

国立国際美術館

国立国際美術館

 シーザー・ペリによる建築として知られる大阪・中之島の国立国際美術館も、11月1日から始まるコレクション展が無料となる。今回のコレクション展は、特集展示「21世紀の想像力」と通年展示「コレクション・ハイライト」の2部で構成。特集展示では、25年間の美術を振り返ることで現在と未来に思いを馳せるものとなる。コレクション・ハイライトでは、ポール・セザンヌやマックス・エルンストらによる、19世紀末から20世紀初頭にかけての実践に焦点を当てている。

 なお同館では、11月1日、11月15日、11月16日、12月6日、2026年1月10日、2月7日もコレクション展が無料となるため、文化の日以外の機会もうかがってみてほしい。

住所:大阪府大阪市北区中之島4-2-55
開館時間:10:00~17:00(金土~20:00)

兵庫県立美術館

兵庫県立美術館

 安藤忠雄建築として知られる兵庫県立美術館では、11月3日の「文化の日」、そして11月15日と16日は「関西文化の日」としてコレクション展が無料となる。

 「ベスト・オブ・ベスト2025」と題して12月14日まで開催されているコレクション展では、兵庫県芦屋市で結成された「具体美術協会」の作家らによる作品をはじめ、大正期から昭和期までに洋画として描かれた人物像、そして戦前期の日本の写真を世界にシンクロさせた写真家・中山岩太などを取り上げている。

 なお、現在開催中の特別展「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s」は有料となるが、あわせて鑑賞するのもおすすめしたい。

住所:神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1
開館時間:10:00~18:00 ※入場は17:30まで

広島市現代美術館

広島市現代美術館 外観

 広島市現代美術館では、11月3日に全展示が無料鑑賞可能となる。

 注目は、現在開催されている特別展「鷹野隆大 カスババ ―この日常を生きのびるために―」(〜12月7日)だ。『IN MY ROOM』に代表されるセクシュアリティに関する作品に加え、「毎日写真」「カスババ」、そして「影」をモチーフにした作品群など、鷹野の多面的な活動を取り上げている。

 ほかにも、同館のコレクション展やオープン・プログラムも鑑賞可能となるため、この機会にゆっくりと美術館での時間を味わうのもよいだろう。

住所:広島県広島市南区比治山公園1-1
開館時間:10:00~17:00 ※入場は閉館の30分前まで