2025.10.10

三連休に見たい展覧会ベスト15。「デザインあ展」から堂本印象の大回顧展、国内最大規模のチームラボ京都まで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

チームラボ 連続する生と死 © チームラボ
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もうすぐ閉幕

「高井戸芸術祭2025」

メインビジュアル

 アートコレクターユニット「THE BLACK FENCE」(黒木健一/柵木頼人)による高井戸芸術祭。その第3回目となる「高井戸芸術祭2025」が10月11日まで開催されている。

 今年は「アップサイクル」をテーマに、アーティスト・淺井裕介を中心としたプログラムを展開。「共同性」をより強調した試みとして、廃棄される予定だった巨大な紙を使用し、今年開校150周年を迎える高井戸小学校の生徒と淺井による合作を制作した。本作は高井戸の街中に飾られており、街歩きや高井戸駅周辺の施設を楽しみながら鑑賞できるものとなっている。

会期:2025年9月27日〜10月11日
会場:杉並区立高井戸小学校、喫茶マカボイ、STUDIO VISIT、snip、株式会社ませぎ型紙製作
開館時間:19:00~22:00(土日 13:00~17:00)
休場日:月火
料金:無料(一部店舗はワンドリンクオーダー制)

原口典之「Circulation」(SNOW Contemporary

原口典之 Photo by Yoko Hida

 東京・西麻布のSNOW Contemporaryで開催されている原口典之(1946〜2020)の個展「Circulation」が10月11日に閉幕する。

 日本における1970年代以降の現代美術のムーヴメントにおいて、代表的なアーティストであった原口だが、没年の2020年に胃癌の余命宣告を受けることとなる。その後、作品発表の予定を目指すわけでもなく、かぎりある生のなかで、ほぼ毎日のようにミニマルな平面作品を制作。没するまでの3ヶ月間で、総数100点以上にものぼる作品を遺した。同展は、その原口の最後の日々の営みを、展覧会においてできるだけ忠実に再現することを試みている。

会期:2025年8月30日~10月11日
会場:SNOW Contemporary
住所:東京都港区西麻布2-13-12 早野ビル404 
開館時間:13:00〜19:00 
休館日:日月火祝 
料金:無料

「デザインあ展neo」(TOKYO NODE)

展示風景より

 「デザインあ展neo」が虎ノ門ヒルズ ステーションタワーのTOKYO NODEにて10月13日まで開催されている。

 同展は、過去2期にわたり、累計116万人が来場した「デザインあ展」をアップデートしたものだ。「デザインあ展」は2013年の21_21 DESIGN SIGHTを皮切りに、2018~21年に日本科学未来館富山県美術館など全国6つの会場で開催された。3回目となる「デザインあ展neo」では、作品を新たに制作し、子供たちがデザインについて様々な思考・発見を楽しめる展示が目指されている。会場レポートはこちら

会期: 2025年4月18日~2025年10月13日
会場:TOKYO NODE
住所:東京都港区虎ノ門2-6-2 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー 45F
開館時間:10:00〜19:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 2500円 / 大学・高校生 1200円 / 小学生 1000円 / 中学生以下無料 / 2歳以上500円

「Nerhol 種蒔きと烏 Misreading Righteousness」(埼玉県立近代美術館

展示風景より

 昨年、千葉市美術館で大規模個展「Nerhol 水平線を捲る」が開催されたアーティストデュオ・Nerhol(ネルホル)。その第二章の幕開けとも言える個展「Nerhol 種蒔きと烏 Misreading Righteousness」が、埼玉県立近代美術館で10月13日まで開催中だ。

 昨年開催された「Nerhol 水平線を捲る」は、結成以来の表現活動を振り返るものとなり、高い評価を得て、令和6年度芸術選奨文部科学大臣新人賞の受賞につながった。

 本展はその後に制作された最新作を中心に、未発表作を加えた約100点で構成するものだ。タイトルにある「種蒔きと烏 Misreading Righteousness」には、物事や行為の一義的な確かさに問いを投げかけ、そこに潜在する意味や覆い隠された関係を注視してきたふたりの一貫した姿勢が反映されている。会場レポートはこちら

会期:2025年7月12日~10月13日
会場:埼玉県立近代美術館
住所:埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1
電話番号:048-824-0111
開館時間:10:00~17:30 ※入場は閉館30分前まで 
休館日:月(ただし、10月13日は開館)
料金:一般 1400円 / 大学・高校生 1120円 / 中学生以下、障害者手帳等をご提示の方および付添の方1名 無料

「ルーツ&アーツしらおい 2025」(北海道白老町)

「ルーツ&アーツしらおい 2025」メインビジュアル

 北海道白老町を舞台にしたアートプロジェクト「ルーツ&アーツ しらおい 2025」も10月13日まで開催されている。

 同アートプロジェクトは今年で5回目の開催。白老町で育まれてきた「手仕事文化」にフォーカスし、それらを体感することができる展示がメインとなっている。また、白老の景色を体感することができる映像展示や、同地の素材を用いて森のなかに「楽器の秘密基地」をつくるワークショップの実施、さらには、アムステルダムを拠点に活動するアーティスト・渡部睦子が滞在制作を行った成果を発表する展示など、様々なコンテンツが目白押しだ。

 ほかにも、全10種類の企画展示が白老町内9ヶ所にて開催予定。白老の歴史や文化、そして現在も残る魅力をアートを通じて知ることができるきっかけとなるだろう。

会期: 2025年9月19日〜10月13日
会場:白老町内各所
住所:北海道白老郡白老町
休館日:月火水(ただし、10月13日は開催)
料金:無料(体験コンテンツは一部有料)

「中之条ビエンナーレ2025」(群馬県中之条町各所)

アニタ・ガラツツァ 儀式の変容 撮影=永井文仁

 群馬県中之条町で開催中の「中之条ビエンナーレ2025」も10月13日までとなっている。

 中之条ビエンナーレは、雄大な自然と豊かな里山文化が残る中之条町を舞台に、隔年で開催される国際現代芸術祭。ラムサール条約登録湿原や温泉郷、養蚕文化、民俗行事など、独自の地域資源を背景に、アーティストは滞在制作を行い、その成果を発表してきた。第10回を迎える今回は、国内外から多彩な分野のアーティストが参加。創造性と革新性に富んだ作品群が、地域の過去と未来を結び直すように展開されている。

会期:2025年9月13日〜10月13日
会場:群馬県中之条町 町内各所
住所:吾妻郡中之条町五反田3534-4(中之条ビエンナーレ事務局[イサマムラ内]) 
開館時間:9:30〜17:00
休館日:無休 
料金:全期間鑑賞パスポート 3000円 / 平日のみ鑑賞パスポート 2000円 / 高校生以下 無料

「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」(大阪市内各所)

展示風景より、トニー・マテッリ《ジョシュ》(2010)

 2022年より、大阪・関西万博に向けて毎年開催されてきた民間主導のアートイベント「Study:大阪関西国際芸術祭」が、10月13日に閉幕を迎える。

 今年のテーマは「ソーシャルインパクト」。大阪・関西万博会場でパブリック・アートを展開するほか、大阪文化館・天保山(旧サントリーミュージアム)・ベイエリア 、船場エリア、西成エリア、JR大阪駅エリアなどがその舞台となっている。会場レポートはこちら

会期:2025年4月11日〜10月13日
会場:大阪市内各所
パスポート料金:一般 3500円/ 学生 3000円 / 中学生以下無料
アートフェア料金:一般 3500円/ 学生 3000円/ 中学生以下無料
セットパス:一般 6000円 / 中学生以下無料

特別展「小沢剛の讃岐七不思議」(香川県立ミュージアム

展示風景より

 香川県立ミュージアムで、美術家・小沢剛の四国初開催の大規模個展「小沢剛の讃岐七不思議」が10月13日まで開催されている。

 讃岐(香川県)においても多くの作品を生み出してきた小沢が改めてこの地域で取り組むのは、「七不思議」というテーマ。2008年に金沢で始め、17年ぶりとなる本テーマは、独自の視点で「見るべき、あるいは知っておく“べき”モノ・コト」に着目したものとなっている。本展は様々な土地を旅しながらリサーチを重ねてきた小沢が、讃岐という土地で発見した、まだあまり知られていないが皆が知るべきモノ・コトに焦点を当てた内容となっている。会場レポートはこちら

会期:2025年8月9日~10月13日
会場:香川県立ミュージアム 特別展示室
住所:香川県高松市玉藻町5番5号
電話番号:087-822-0002 
開館時間:9:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし、10月13日は開館)
料金:一般1200円 / 高校生以下・県内在住の65歳以上の方・障害者手帳、特定医療費(指定難病)受給者証、小児慢性特定疾病医療費の受給者証等の提示者とその介護者は無料

今週開幕

「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」

チームラボ 変容する連続体 © チームラボ

 国内の屋内施設では最大規模となるチームラボの新たな常設ミュージアム「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」が10月7日にオープンを迎えた。

 チームラボにとっても念願の京都における常設施設となった同館は、3フロアでの展開。これまでのチームラボ施設でも展開されてきた《メガリス》や《Infinite Crystal World》《呼応するランプの森:One Stroke - a Year in the Mountain》《花と人、コントロールできないけれども共に生きる》などはもちろんのこと、「環境が現象を生み、その現象が存在を創る」という「環境現象」をコンセプトにした日本初公開作品《質量も形もない彫刻》などの新作、そして教育的なプロジェクトをテーマとした、複雑で立体的な創造的運動空間「運動の森」や、共創(共同的な創造性)のための「学ぶ!未来の遊園地」、スケッチファクトリーなど、50以上の作品群で構成されている。会場レポートはこちら

開館日:10月7日
住所:京都市南区東九条東岩本町21-5
開館時間:9:00〜21:00
休館日:10月21日、11月4日、18日、12月2日、16日
料金:一般 3800円 / 高校生・中学生 2800円 / 子供 1800円 / 3歳以下無料※事前日時指定予約制、日時による変動価格制

「没後50年 堂本印象 自在なる創造」(京都国立近代美術館

展示風景より

 京都画壇の巨匠・堂本印象(1891〜1975)。その大規模回顧展「没後50年 堂本印象 自在なる創造」が京都国立近代美術館で開幕を迎えた。

 これまで印象の仕事を紹介する役割は京都府立堂本印象美術館が担ってきたこともあり、京都国立近代美術館では初の印象展となる本展。印象の画業の変遷を5章構成で年代順に紹介するもので、官展および新日展出品作を中心に、国内で所蔵される作品約98点が集結するまたとない機会となっている。会場レポートはこちら

会期:2025年10月7日~11月24日
会場:京都国立近代美術館
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町
電話番号:075-761-4111 
開館時間:10:00~18:00(金〜20:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし、10月13日、11月3日、11月24日は開館)、10月14日、11月4日
料金:一般 1500円 / 大学生 700円 / 高校生以下・18歳未満 無料

「アール・デコとモード 京都服飾文化研究財団(KCI)コレクションを中心に」(三菱一号館美術館

ジャン・パトゥ イヴニング・ドレス(部分) 1927 京都服飾文化研究財団 撮影=来田猛

 三菱一号館美術館にて、「アール・デコとモード 京都服飾文化研究財団(KCI)コレクションを中心に」展が開催される。会期は10月11日〜2026年1月25日。

 本展は、1925年にパリで開催された装飾芸術の博覧会(アール・デコ博覧会)から100年を記念して開催されるもので、1920年代を中心に隆盛したアール・デコ様式と、当時の「モード(流行の服飾)」との関係を多角的に紐解く内容となっている。京都服飾文化研究財団(KCI)所蔵のドレスや服飾資料約200点に加え、同時代の絵画、版画、工芸作品なども展示され、合計約310点が紹介される予定だ。

会期:2025年10月11日~2026年1月25日
会場:三菱一号館美術館
住所:東京都千代田区丸の内2-6-2
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~18:00(1月2日を除く金と会期最終週平日、第2水は〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(祝日・振替休日を除く)、および12月31日と1月1日(ただし、トークフリーデーの10月27日、11月24日、12月29日、会期最終週の1月19日は開館)
料金:一般 2300円 / 大学生・専門学校生 1300円 / 高校生 1000円
※障害者手帳をお持ちの方は当日一般料金の半額。付添の方1名まで無料。

「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山城知佳子×志賀理江子 漂着」 (アーティゾン美術館

山城知佳子 発表予定の新作より(タイトル未定) ⓒ Chikako Yamashiro. Courtesy of the artist

 アーティゾン美術館で、「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山城知佳子×志賀理江子 漂着」展が開催される。会期は10月11日〜2026年1月12日。

 本展は、同館が継続して取り組む「ジャム・セッション」シリーズの第6回目にあたり、石橋財団が所蔵する近現代美術のコレクションと、現代を代表するアーティストとの共演を通じて、美術の新たな可能性を探る試みだ。今回のセッションには、沖縄を拠点に戦争や植民地支配の歴史と身体的に向き合ってきた映像作家・山城知佳子と、東北・宮城県を拠点に写真を軸とした独自の物語世界を展開してきた志賀理江子が参加。それぞれの土地に根ざした歴史や記憶と深く関わりながら、現代社会における分断や忘却に批評的な視線を向けてきた両者のアプローチが同館コレクションと交差する。

会期:2025年10月11日〜2026年1月12日
会場:アーティゾン美術館 6・5階展示室
住所:東京都中央区京橋1-7-2
開館時間:10:00〜18:00(金〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし、10月13日、11月3日、11月24日、1月12日は開館)、10月14日、11月4日、11月25日、 年末年始(12月28日〜1月3日)
料金:ウェブ予約チケット 1200円 / 窓口販売チケット 1500円 / 学生無料(高校生以上要ウェブ予約)
※予約枠に空きがあれば、美術館窓口でもチケットを購入可能。

「MEET YOUR ART FESTIVAL 2025」(天王洲運河一帯)

 アートを軸に、音楽・ファッション・ライフスタイルなどの隣接するカルチャーを一堂に会することで、領域を越えた交差を生み出すことを目指す、領域横断型のアートフェスティバル「MEET YOUR ART FESTIVAL」が、今年4回目の開催を迎えた。会期は10月13日まで。

 今年はフェスティバル全体で100名以上の気鋭アーティストが参加。アートエキシビション「Ahead of the Rediscovery Stream」には、故・山峰潤也の意志を受け継ぎ、アーティスティック・ディレクターに森山未來、キュレーターに吉田山、渡邊賢太郎、さらにアドバイザーとして秋元雄史を迎え、人々の記憶や感覚を呼び覚まし、来場者が無意識に抱える原体験へと触れるような、身体的かつ没入的な展覧会が構築される。

 また、アートフェア「MEET YOUR ARTISTS」では、国内外で活躍する気鋭のアーティスト約70名による300点以上の作品を展示販売。キュレーションエリアとして日本の美意識に焦点を当てた「和を以て日々を結ぶ」、協働パートナーとともに12のテーマで構成し、アートと多様なカルチャーの交差を探る「MEET YOUR ARTISTS -CROSSOVER- 」を展開する。

会期:2025年10月10日〜13日
会場:東京・天王洲運河一帯 
料金:一般 3000円 / 学生 2000円

「TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE 2025」(東京ミッドタウン各所)

 六本木の東京ミッドタウンで「TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE 2025」がスタートした。

 東京ミッドタウンが新たに発信する同イベントは、「あたりまえの日常が、おもしろくなるデザインイベント」をスローガンに、生活や人生といった「LIVE」とデザインの関係性を見つめ直す企画だ。

 会場では、国内外で活躍するデザイナーによる展覧会が開催され、視覚・聴覚・触覚など五感を通じて体験できるプログラムも用意されている。なお、イベントのクリエイティブディレクターには佐藤卓(グラフィックデザイナー)が、そして展示のキュレーションには土田貴宏(デザインジャーナリスト)が参加している。

会期:2025年10月10日〜11月5日
会場:東京ミッドタウン各所
住所:東京都港区赤坂9-7-1 
料金:無料

「庄司朝美 トビリシより愛を込めて」(横浜市民ギャラリーあざみ野

庄司朝美 「Window Painting」シリーズより 2022〜23

 横浜市民ギャラリーあざみ野で「Azamino Contemporary vol.16 Shoji Asami: From Tbilisi with Love 庄司朝美 トビリシより愛を込めて」が開催される。

 本展は、庄司によってジョージア各地での滞在を経て制作された約80点の新作を展示。この展覧会では、かつて旧ソ連構成国のひとつだったコーカサス地方の小国ジョージアで、庄司が真摯に見つめた、国家、人種、民族、アイデンティティ、人々の日常生活の断片が凝縮された作品が紹介されるという。

会期:2025年10月11日〜11月3日
会場:横浜市民ギャラリーあざみ野
住所:神奈川県横浜市青葉区あざみ野南1-17-3 アートフォーラムあざみ野内
電話番号:045-910-5656 
開館時間:11:00〜18:00
休館日:10月27日 
料金:一般 500円 / 20歳未満および学生・65歳以上 無料