Fault Lines

　Gallery Commonで、イチ・タシロ、ミン・ラン・トラン、ローズ・サレーヌによるグループ展「Fault Lines」が開催される。

　イチ・タシロは、均された表層の上に実験的な素材と重層化、そして加算・減算による相互作用を適用することによって作品を制作するアーティスト。最新の作品ではかさねあわされたキャンバスの層に彫刻を施し、燃焼させることで制作を行っている。その変容的プロセスは切断や燃焼という行為を癒しの動作に変換し、能動的な瞑想、そして自身の内側と外側の双方を探求する行為として機能させている。

　ミン・ラン・トランは香港生まれ、パリ在住。トランは、絵画、書、パフォーマンスをその多様な実践に統合している。本展でトランは日本での滞在中に調達した印刷物、布地、顔料、インク、木材などの素材をもちいて、環境、文化的風土、集合的記憶の痕跡に応答するミクストメディア作品シリーズを制作しており、その作品は身体性、抵抗、言語への探求を押し広げている。

　ニューヨークを拠点とするローズ・サレーヌは、記憶、価値、交換の物語を語る品々のコレクションである「ダイナミック・セット」を扱うアーティスト。サレーヌの新作もまたこの土地の歴史や素材に反応し、個人的な物語と集合的記憶の入り組んだ関係を明らかにしている。本展では、テクノロジーと人間の記憶、感情の相互作用を探求し、日本の文化的・経済的歴史の中心であるテクノロジーとメディアの関係を記録している。

　この3人のアーティストたちはともに、彼らが「Fault Lines（断層線）」と呼ぶもの、すなわち境界線であり同時に接点でもあるものを探求している。