EXHIBITIONS

企画展 移転開館5周年記念

ルーシー・リー展 ―東西をつなぐ優美のうつわ―

2025.09.09 - 11.24

移転開館5周年記念 ルーシー・リー展―東西をつなぐ優美のうつわ― チラシ

 国立工芸館で、企画展「移転開館5周年記念 ルーシー・リー展 ―東西をつなぐ優美のうつわ―」が開催される。

 本展では、20世紀を代表するイギリスの陶芸家ルーシー・リー(1902〜95)の作品を、国立工芸館に寄託された井内コレクションを中心に約120点紹介。

 ルーシー・リーはオーストリア・ウィーン生まれ。ウィーン工芸美術学校で轆轤(ろくろ)に出合い、陶芸の道へと進む。作家としての地位を確立しながらも、1938年に亡命を余儀なくされると、作陶の場をイギリス・ロンドンへ移した。ウィーン、ロンドン、当時の美術のエッセンスを吸収して昇華し、しなやかながら芯を感じさせる優美な形、色彩がリーの作品の特徴となっている。

 本展では、リーが出会った人、もの、場所、そして時代背景を交えながらその作品を紐解く。ウィーンで出会ったヨーゼフ・ホフマンやロンドン時代のバーナード・リーチ、ハンス・コパー。制作初期から円熟期まで、リーと交流のあった作家たちの作品もあわせて展示することで、その造形の根源へと迫る。

 また、これまでリーチとの関わりのなかでとらえられてきた日本を中心とした東洋のやきものとの関係性も見直す。東洋のやきものへの関心が高まっていた20世紀初頭、リーチを筆頭にイギリスの作家たちは、日本や中国のやきものに大きな影響を受け、制作した。その中心地となり土壌が形成されたイギリスで、リーが何を見て学び、受け入れたのか。洗練された佇まいの作品の内にある東西をまたぐ複層的な造形を知ることで、作品に表されたリーの信念と姿が浮かび上がる。