EXHIBITIONS

suma×陽虹舎「なにもない(  )、ぜんぶある」

陽虹舎 農倉庫
2025.10.05 - 10.19
 陽虹舎 農倉庫で、suma×陽虹舎「なにもない(  )、ぜんぶある」が開催される。

 sumaは札幌市生まれ、現在は東京を拠点に活動するアーティスト。日常に遍在する視覚的情報をたんなる物理的対象ではなく、意味を内包する記号としてとらえ、無意識に見過ごされるシンボルやメタファーに焦点をあてた作品を制作している。

 本展は、sumaと北海道積丹町で自然農法を実践する陽虹舎とのコラボレーションによって実現。sumaは積丹町に1ヶ月間滞在し、その体験をもとに制作した新作を、農作業の道具が日常的に保管されている陽虹舎の農倉庫内に展示する。展示空間は、ありのままの積丹の営みが感じられる場であり、作品は都市と地方、過剰と不足、豊かさと貧しさといった対比を出発点に構成されている。

 積丹の自然や人々との交流を通じて、sumaは東京の生活であたり前とされる「便利さ」や「豊かさ」への認識を見直すに至ったという。展覧会タイトルにもある「なにもない(  )、ぜんぶある」という視点は、積丹の土地や生活のなかに、物質的ではない別の豊かさを見出す姿勢を示している。また、展示の舞台となる陽虹舎では、化学肥料や農薬をもちいず、種子や土、雨といった自然の力だけで作物を育てる「自然農法」を実践しており、「ない」ことがもたらす豊かさのあり方を農の現場からも提示している。