EXHIBITIONS

谷岡靖則 退任記念展 うしなわれしもの・とき、そして

谷岡靖則 膜-HAND Ⅺ.L 2019年 作家蔵 加藤正博 撮影

 東京藝術大学大学美術館で「谷岡靖則 退任記念展 うしなわれしもの・とき、そして」が開催される。

 本展は、東京藝術大学美術学部工芸科鋳金で長年にわたり教鞭を執ってきた谷岡靖則の退任を記念して開催される展覧会だ。谷岡は、鋳金表現において「型に流し込むことで生まれる現象」を主題とし、その偶然性に注目しながら独自の造形世界を築いてきた。

 谷岡の作品においては、素材と向き合う工芸という営みのなかで、鋳金特有の流動性や物質がかたちをなす過程を通して、自然界における不可視の力や再生の兆しをとらえる姿勢が一貫して見られる。

 本展では、そうした谷岡の鋳金作品に宿る「失われゆくものの時間」や、「再生されるかたち」といった主題に注目することで、谷口の制作思想に迫る。