2025.1.10

三連休に見たい展覧会ベスト15

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「内藤礼 生まれておいで 生きておいで」(2024)銀座メゾンエルメス フォーラム展示風景より 撮影=畠山直哉
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もうすぐ閉幕

奈良美智「I Draw the Line」(BLUM東京

展示風景より

 原宿のBLUM 東京で、奈良美智による個展「I Draw the Line」が1月11日まで開催されている。

 奈良にとってBLUMで9回目の個展となる本展では、2000年代半ば頃から奈良が手がけてきた、小さなドローイングをプロジェクションによって拡大し大画面に仕上げる手法「ビルボード・ペインティング」による3点のペインティングが展示。流れる線の動きやスピード、筆圧など、ドローイングが放つエネルギーは、ビルボード・ペインティングにおいて、パステル調の色彩のポップなインパクトと木材のテクスチャーが持つ温かな風合いの魅力に置き換えられている作品に注目だ。

会期:2024年11月7日~2025年1月11日
会場:BLUM 東京
住所:東京都渋谷区神宮前1-14-34 原宿神宮の森5F
電話番号:03-3475-1631
開館時間:12:00~18:00
休館日:日月祝
料金:無料

「平安文学、いとをかし―国宝『源氏物語関屋澪標図屏風』と王朝美のあゆみ」(静嘉堂文庫@丸の内

展示風景より

 平安文学をテーマにした日本美術の名品を紹介する「平安文学、いとをかし―国宝『源氏物語関屋澪標図屏風』と王朝美のあゆみ」が、東京・丸の内の静嘉堂@丸の内(静嘉堂文庫美術館)で1月13日まで開催中だ。レポート記事はこちら

 本展は、「平安文学の世界にようこそ!」「絵巻物で読む物語」「時代を超える『源氏物語』」「平安古筆と料紙装飾の美」の4章構成。修理後初公開となる重要文化財「住吉物語絵巻」(鎌倉時代 14世紀)や本展が初公開となる土佐光起《紫式部図》(江戸時代 17世紀)、そして国宝である俵屋宗達の《源氏物語関屋澪標図屏風》(1631)などが並び、人々を魅了し続ける平安文学の世界に没入できるだろう。

会期:2024年11月16日〜2025年1月13日 ※会期中一部展示替えあり会場:静嘉堂@丸の内住所:東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1階電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)開館時間:10:00〜17:00(土〜18:00、第三水曜〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで休館日:月、年末年始(12月28日〜1月1日)料金:一般 1500円 / 大学・高校生 1000円 / 中学生以下無料

レオ・レオーニと仲間たち(板橋区立美術館

レオ・レオーニ『マシューのゆめ』原画 Matthewʼs Dream
ⓒ 1991 by Leo Lionni_Knopf  Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family

 板橋区立美術館の「レオ・レオーニと仲間たち」が1月13日で閉幕する。

 本展では、レオーニの生涯にわたる制作活動と、影響関係にあったアーティストたちをあわせて紹介。同館にとって3度目のレオ・レオーニ展となる本展では、こうした交流の積みかさねや長年にわたる調査研究を通して明らかになったレオーニの活動の全貌を、20世紀の文化史の大きな流れのなかから検証する初の試みとなっている。

会期:2024年11月9日~2025年1月13日
会場:板橋区立美術館
住所:東京都板橋区赤塚5-34-27ART MAPで見る電話03-3979-3251開館時間09:30~17:00(入館は16:30まで)休館日月、12月29日〜1月3日(ただし1月13日は開館)観覧料一般 650円 / 高校・大学生 450円 / 小・中学生 200円

川崎市市制100周年・開館25周年記念「岡本太郎に挑む 淺井裕介・福田美蘭」展(川崎市岡本太郎美術館

 川崎市市制100周年・開館25周年記念「岡本太郎に挑む 淺井裕介・福田美蘭」展が13日まで開催中だ。

 本展は、淺井裕介(1981〜)と福⽥美蘭(1963〜)のふたりの現代作家による展覧会であり、アートシーンの第⼀線で活躍するふたりの作家が、岡本太郎と関連づけた⾃作を企画展⽰室に展⽰。本展のために、淺井は川崎市内で採取した⼟を絵具にして巨⼤な新作を制作。福⽥は新作を展⽰するほか、岡本の作品によるインスタレーションを展開。また、常設展⽰室では、ふたりの作家がそれぞれ独⾃の視点で選んだ同館収蔵の岡本作品が紹介されている。

会期:2024年10月12日~2025年1月13日
会場:川崎市岡本太郎美術館
住所:神奈川県川崎市多摩区枡形7-1-5 生田緑地内
電話番号:044-900-9898
開館時間:9:30~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(1月13日は開館)
料金:一般 1000円 / 高校・大学生、65歳以上 800円 / 中学生以下無料

「Saul Leiter」(art cruise gallery by Baycrew’s)

展示風景より

 日本で高い人気を博す写真家ソール・ライター(1923〜2013)。その個展が、ベイクルーズが運営するアートギャラリー「art cruise gallery by Baycrew’s」(虎ノ門ヒルズ ステーションタワー)で1月13日まで開催されている。レポート記事はこちら

 本展は、没後に発掘されたポジから新たにプリントされた作品44点を日本で公開するものだ。作品の選定は、ソール・ライター財団が監修した。見る角度によって、作品同士がオーバーラップするような構成となっている。ファッションフォトをはじめ、会場に並ぶ大半の作品が初公開となっており、展示作品はすべて購入可能。日本では正式にソール・ライター作品を販売するギャラリーはなく、貴重な機会だ。

会期:2024年10月25日〜2025年1月13日
会場:art cruise gallery by Baycrew's
住所:東京都港区虎ノ門2-6-3 虎ノ門ヒルズ ステーションタワ ー3F SELECT by BAYCREW’S 内
開館時間:SELECT by BAYCREW’Sに準ずる
休館日:SELECT by BAYCREW’Sに準ずる
料金:無料

「内藤礼 生まれておいで 生きておいで」(銀座メゾンエルメス フォーラム

「内藤礼 生まれておいで 生きておいで」(2024)銀座メゾンエルメス フォーラム展示風景より
撮影=畠山直哉

 銀座メゾンエルメス フォーラムの「内藤礼 生まれておいで 生きておいで」が13日で閉幕する。レポート記事はこちら

 本展は、東京国立博物館で開催された同名の展覧会と一連の流れを持って構想されたものだ(東博での内藤礼インタビューはこちら)。東博でも展示された絵画シリーズ「color beginning / breath」のほか、東博では見られなかったモチーフも銀座メゾンエルメス フォーラムには存在しており、ここだけを見ても十分に見応えがあるだろう。

会期:2024年9月7日~2025年1月13日
会場:銀座メゾンエルメス フォーラム 8・9階
住所:東京都中央区銀座5-4-1
電話番号:03-3569-3300 
開館時間:12:00〜19:00 ※入場は18:30まで ※開館時間が通常と異なるのでご注意ください。
休館日:水 
料金:無料

「かみがつくる宇宙―ミクロとマクロの往還」(市原湖畔美術館

展示風景より、柴田あゆみ《いのちの詩》(2024)
撮影=加藤健

 市原湖畔美術館で、3人の女性アーティストの作品を展観する「かみがつくる宇宙-ミクロとマクロの往還」が1月13日まで開催中。キュレーターインタビューはこちら

 参加作家は布施知子、安部典子、柴田あゆみ。布施は「ユニット折り」を世界的に広め、「無限折り」をはじめ、従来の折り紙の概念を変えた。安部は、何百枚、何千枚という紙を一枚ずつフリーハンドで切りかさね、切り込むことで、紙による彫刻表現の可能性を探求。柴田は、圧倒的な超絶技巧と光の陰影によって、手のひらサイズから大型作品まで制作している。

 本展では、従来の紙のイメージをくつがえす独創的な技法を展開し、「折り紙」、「彫刻」、「切り絵」とそれぞれ紙への異なるアプローチを探求する3人の作品が並ぶ。

会期:2024年10月19日~2025年1月13日
会場:市原湖畔美術館
住所:千葉県市原市不入75-1
開館時間:10:00〜17:00(土・祝前日9:30〜19:00、日祝9:30〜18:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(祝日の場合は翌平日)
料金:一般 1000円 / 大学・高校生・65歳以上 800円 / 中学生以下無料

「サエボーグ Enchanted Animals」(黒部市美術館

展示風景より

 動物を模したラテックス製のボディースーツや造形物を使って命の価値や身体のあり方を問うアーティスト・サエボーグの個展「黒部市美術館開館30周年 サエボーグ Enchanted Animals」が1月13日に閉幕する。レポート記事はこちら

 サエボーグは富山県出身。ラテックス製の動物のボディースーツで自身の身体を拡張させ、農場や家などを舞台にパフォーマンスや展覧会、映像作品の制作などを行ってきた。今回の個展では、館全体を使って来場者が動物となって体感できる複合的なインスタレーションを構成。動物と人間の境目を揺るがすことで、鑑賞者一人ひとりの実存を問う展覧会をお見逃しなく。

会期:2024年11月16日~2025年1月13日
会場:黒部市美術館
住所:富山県黒部市堀切1035(黒部市総合公園内)
電話番号:0765-52-5011
開館時間:9:30~16:30 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(1月13日は開館) 
料金:一般 500円 / 高校・大学生 400円 / 中学生以下無料

「江口寿史展」(福岡アジア美術館

江口寿史展キービジュアル ©2024 Eguchi Hisashi

 マンガ家・イラストレーターである江口寿史のキャリア50周年を目前とした展覧会「江口寿史展」が福岡アジア美術館で1月12日まで開催されている。

 江口は、1956年熊本県水俣市生まれ。1977年「週刊少年ジャンプ」の『すすめ‼パイレーツ』で連載デビュー。代表作に 『ストップ‼ひばりくん!』(1981)『「エイジ」』(1984)など。斬新なポップセンスと独自の絵柄で漫画界に多大な影響を与える。80年代中盤からはイラストレーターとしても活躍し、漫画連載当時のファンから、イラストやCDジャケットで知った若い世代まで幅広く支持を集めている。江口の原点から現在までをたどる九州初の大規模展覧会をお見逃しなく。

会期:2024年11⽉9⽇〜2025年1⽉12⽇
会場:福岡アジア美術館 7階企画ギャラリー
住所:福岡県福岡市博多区下川端町3-17 8F
開館時間:9:30〜18:00(⾦⼟〜20:00) ※最終入場は閉館の30分前まで
休館日:水
料金:⼀般 1500円 / ⾼⼤⽣ 900円 / ⼩中⽣ 500円

今週開幕

「瑞祥のかたち」(皇居三の丸尚蔵館)

展示風景より、伊藤若冲《旭日鳳凰図》(1755、展示期間〜2/2)

 2026年秋に全面開館予定の皇居三の丸尚蔵館で、新年を飾るにふさわしい展覧会「瑞祥のかたち」が開催中。レポート記事はこちら

 本展の主題となるのは、蓬莱山や鶴、鳳凰、麒麟など、古くから愛されてきた様々な「吉祥」のモチーフ。 例えば伊藤若冲の《旭日鳳凰図》(1755、展示期間〜2/2)は想像上の鳳凰が見事な描写によって細密に描き出されており、色鮮やかな羽を持つ雌雄の鳳凰が神々しさを放つ。新年最初の展覧会としてもおすすめだ。

会期:[前期]2025年1月4日~2月2日、[後期]2025年2月4日~3月2日
会場:皇居三の丸尚蔵館
住所:東京都千代田区千代田1-8 皇居東御苑内
開館時間:9:30~17:00(1月7日13:00〜、金土〜20:00。ただし1月31日と2月28日を除く) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし1月13日と2月24日は開館し、翌火曜日休館) 
料金:一般 1000円 / 大学生 500円 / 高校生以下および満18歳未満、満70歳以上無料

「今津景 タナ・アイル」(東京オペラシティ アートギャラリー

「unearth」ROH(インドネシア)展示風景 2023
courtesy of The Artist and ROH

 国内外で大きな注目を浴びている現代アーティスト・今津景(1980〜)。その初となる大規模個展「今津景 タナ・アイル」が、東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーで開幕する。

 近年は、インドネシアの都市開発や環境汚染といった、自身が同地で生活していくなかで体験・リサーチしたリアルな現状をベースに作品制作をしている今津。展覧会タイトルとなる「タナ・アイル」は、インドネシア語で「タナ」(土)、「アイル」(水)を指しており、ふたつの言葉をあわせると「故郷」を表す言葉になるという。本展は、現在生活する「インドネシア」と自身のルーツである「日本」というふたつの土地での経験と思考にもとづく今津の作品を通じて、自らが生きる場所について考える機会を創出するものとなる。

会期:2025年1月11日〜3月23日
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティビル3F
開館時間:11:00〜19:00 ※入場は18:30まで
休館日:月(ただし祝日の場合は開館し、翌平日休館) 、2月9日
料金:一般 1400円 / 大高生 800円 / 中学生以下無料 

「ル・コルビュジエ―諸芸術の綜合 1930-1965」(パナソニック汐留美術館

 東京・汐留のパナソニック汐留美術館で「ル・コルビュジエ―諸芸術の綜合 1930-1965」がスタートする。

 本展は、1930年代以降にル・コルビュジエが手がけた絵画、彫刻、素描、タペストリーを展覧するもの。ゲスト・キュレイターはドイツの美術史家ロバート・ヴォイチュツケが務める。展覧会は4章構成で、国内外から借用した作品約90点(絵画、彫刻、素描、タペストリー、図面、模型、ルシアン・エルヴェの写真作品)のほか、写真資料が出品される予定だ。

会期:2025年1月11日~3月23日
会場:パナソニック汐留美術館
住所:東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4F
開館時間:10:00~18:00(2月7日、3月7日、14日、21日、22日〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:水(ただし3月19日は開館) 
料金:一般1200円 / 65歳以上 1100円 / 大学生・高校生 700円 / 中学生以下無料※土日祝は日時指定予約(平日は予約不要)。当日空きがあれば入館可能。混雑状況により入館方法が変更になる場合がある。

「美を疑え-資生堂クリエイティブ展-」(資生堂ギャラリー

 資生堂ギャラリーで「美を疑え-資生堂クリエイティブ展-」が開催される。

 資生堂クリエイティブ株式会社は、BEAUTIFUL IMPACTの創出を通じて新しい美の体験を提案し、ビジネスの価値を最大化することをビジョンとして掲げている。2022年の設立以来初めてとなる展覧会では、様々な視座と角度から美と対峙した10作品が展示される予定だ。

会期:2025年1月11日~1月26日
会場:資生堂ギャラリー
住所:東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル 地下1階
電話番号:03-3572-3901
開館時間:11:00~19:00(日祝~18:00)
休館日:月
料金:無料

蜷川実花展 with EiM:彼岸の光、此岸の影」(京都市京セラ美術館

展示風景より

 蜷川実花が作品づくりを手がける展覧会としては、関西で過去最大の⼤規模個展「蜷川実花展 with EiM:彼岸の光、此岸の影」が、京都市京セラ美術館で1月11日に開幕する。

 本展は蜷川および各分野のスペシャリストによるクリエイティブチームEiM(エイム)として挑むもの。EIMは写真家・映画監督の蜷川実花と、データサイエンティストの宮⽥裕章、セットデザイナーのENZO、クリエイティブディレクターの桑名功、照明監督の上野甲子朗らで結成されたクリエイティブチームで、プロジェクトごとに多様なチームを編成しながら活動している。

 本展は、本展のために制作した映像によるインスタレーション、立体展示などで構成。京都国際観光大使も務めた蜷川実花が、京都の街からインスピレーションを受け、EiMとともに絵巻体験を創出するという。

会期:2025年1月11日〜3月30日
会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124
開館時間:10:00〜18:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(祝・休日の場合は開館)
料金:一般 2300円 / 大学生 1600円 / 高校生 1100円 / 中学・小学生 800円

「平間至展 ー写真と音楽があるかぎり」(岩手県立美術館

平間至 忌野清志郎「NO MUSIC, NO LIFE.」2008年6月〜7月 ©Itaru Hirama

 岩手県立美術館で、企画展「平間至展 ー写真と音楽があるかぎり」がスタートする。

 平間室は、タワーレコードのキャンペーン「NO MUSIC, NO LIFE.」をはじめ、1990年代から現在まで幾多のアーティストを撮り続け「音楽が聴こえてくるような躍動感あるポートレート」で平成のカルチャーシーンを席巻した。本展では、学生時代の作品を起点に「NO MUSIC, NOLIFE.」、CDや雑誌のために撮り下ろしたアーティスト写真、ダンサー・田中泯を追い続けたシリーズ「場踊り」、故郷の宮城県塩竈市の写真館や家族、自らの日常風景をたどった「Hi-Bi」や、東日本大震災後に撮影した内省的な心象風景の「光景」、さらには、東京で再撮影した写真まで、300点以上を一堂に展示する。

会期:2025年1月11日~2月24日
会場:岩手県立美術館
住所:岩手県盛岡市本宮字松幅12-3
電話番号:019-658-1711
開館時間:9:30~18:00
休館日:月、1月14日(1月13日、2月10日、2月24日は開館)
料金:一般 1100円 / 高校生・学生 700円 / 小学生・中学生 400円