2025.7.17

静嘉堂の名品が勢ぞろい。「修理後大公開!静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」が今秋開催へ

静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)で、大阪・関西万博を記念した展覧会「修理後大公開!静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」が開催される。会期は10月4日~12月21日。

ポスタービジュアル
前へ
次へ

 東京・丸の内の静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)で、大阪・関西万博を記念した展覧会「修理後大公開!静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」が開催される。会期は10月4日~12月21日。

 静嘉堂@丸の内の開館から3周年となる本展では、同館ならではの東洋絵画の逸品が勢ぞろい。また大阪・関西万博にちなんで、会場では、20世紀初頭の博覧会に出品された岩﨑家(静嘉堂)所蔵の琳派や肉筆浮世絵、近代絵画などのほか、国宝から重要文化財、重要美術品、そして「未来の国宝」ともなり得る菊池容斎の巨大絵画に至るまでを展示。さらに、近年修復を終えて蘇った室町時代の屏風や中国宋・元の掛軸などもこのタイミングでお披露目されるという。

 会場は全4章構成となる。例えば1章では、岩﨑彌之助の時代である「第四回内国勧業博覧会」(1895)、「パリ万博」(1900)、「日英博覧」(1910)に出品された文物の数々を紹介する。

色絵五艘船文鉢 江戸時代(18世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵 通期展示
石黒是美 花鳥図大小鐔 三所物 江戸時代(19世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵 後期展示(11月11日~12月21日)
野口幽谷 菊鶏図屏風 明治28年(1895) 静嘉堂文庫美術館蔵 前期展示(10月4日~11月9日)

 第2章では、室町時代の屏風や中国宋・元の掛軸などの東洋画が修復後初公開される。東洋絵画には、中国の詩画一致(詩画同源)の思想に倣い、しばしば画中に作者や作品に関わった人々の賛(題や詩文)が添えられていることがあり、これらは宋代以降、文人たちのあいだで「詩書画」の三位一体で鑑賞されてきた歴史がある。ここでも1970年の大阪万博にて出品された作品が展示されるが、それらはすべて詩画一致の作品であったという。

蜀山図 重要文化財 室町時代(15世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵 後期展示(11月11日~12月21日)

 第3章では「未来の国宝」として、幕末明治の画壇の重鎮で、明治中後期に隆盛する「歴史画」の先駆者でもあった菊池容斎による巨大絵画と、中国明清時代の巨大絵画を前期会期にて展示。また後期は、近年修理を終えた2つの重要文化財の屛風と、伝周文《四季山水図屛風》、式部輝忠《四季山水図屛風》があわせて展示されるという。

左から、菊池容斎 呂后斬戚夫人図 天保14年(1643)、馮昭儀当逸熊図 天保12年(1841) ともに静嘉堂文庫美術館蔵 前期展示(10月4日~11月9日)
式部輝忠 四季山水図屛風 重要文化財 室町時代(16世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵 後期展示(11月11日~12月21日)

 最終章は、岩﨑父子にまつわる静嘉堂ならではの未来の国宝、そして宋元の美術・古典籍で締めくくられる。前期は、文人画家・渡辺崋山の名幅《月下鳴機図》と、それを小彌太が丁寧に摸写し、松方正義が詩を添え双幅とした作品を紹介。後期は、南宋時代の国宝《風雨山水図》や、国宝《曜変天目》、国宝《与中峰明本尺牘》などが展示されるという。

伝馬遠 風雨山水図 国宝 南宋時代(13世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵 後期展示(11月11日~12月21日)
曜変天目(稲葉天目) 国宝 南宋時代(12~13世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵 通期展示

 なお、会期中はワークショップや講演会など様々な関連イベントが企画されるほか、同館が毎週木曜日に実施している「トークフリーデー」も引き続き楽しむことができる。足を運ぶ際はこちらもぜひチェックしてみてほしい。