2025.7.24

SIDE COREの個展が金沢21世紀美術館で10月開催。能登半島をリサーチ、ゲストに森田貴宏、スティーブン・ESPO・パワーズ、細野晃太朗

金沢21世紀美術館でSIDE COREの個展「SIDE CORE Living road, Living space /生きている道、生きるための場所」が開催される。会期は10月18日〜2026年3月15日。

SIDE CORE new land 2024 ©SIDE CORE
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 金沢21世紀美術館SIDE COREの個展「SIDE CORE Living road, Living space /生きている道、生きるための場所」が開催される。会期は10月18日〜2026年3月15日。

 SIDE COREは2012年に発足したアートチーム。高須咲恵、松下徹、西広太志のメンバーを中心に、ストリート・カルチャーを切り口として「公共空間における表現の拡張」をテーマに活動してきた。都市や路上で生まれる表現の可能性を探求し、公共空間を舞台としたプロジェクトベースの作品を多数発表。その作品は、その土地と風景に新たな視座を与えることを重視している。

SIDE CORE photo:HAMADA Shin

 これまで東京を活動の舞台としながら、日本各地でもプロジェクトを展開してきたSIDE CORE。その実践の背景には、2011年の東日本大震災を契機に実感した「都市はあらゆる側面でほかの地域に依存して成り立っている」という気づきがあったという。SIDE COREはストリートカルチャーを「都市の公共空間における表現」にとどめるのではなく、「道=異なる場所や価値観を媒介するもの」として再定義し、ストリートカルチャーを、都市の路上に閉じた表現ではなく、地域と地域をつなぎ、移動や文化の連鎖反応にもとづく表現運動としてとらえ直すことを試みている。

SIDE CORE/EVERYDAY HOLIDAY SQUAD rode work ver. tokyo 2018/2022 photo:KIOKU Keizo

 展覧会タイトルの「Living road, Living space(生きている道、生きるための場所)」には、SIDE COREが考える、ストリートカルチャーのあり方が込められており、これは異なる目的や背景を持つ人々が、ひとつの力や目的に縛られず、それぞれの考えや価値観を交換する営為そのものを示したものだ。本展では「異なる場所をつなぐ表現」や「道や移動」をテーマにした作品展示に加え、展覧会ゾーンに期間限定で開設される無料のスペースなどを通して、美術館という空間に「別の道」を開く。

SIDE COREの珠洲市でのリサーチの様子

 また、ゲストアーティストを招聘することで、スケートボードやグラフィティ、音楽イベントといったストリートカルチャーの表現を紹介。プロスケーターで映像作家の森田貴宏、グラフィティに立脚するアーティストのスティーブン・ESPO・パワーズ、アートスペースやギャラリーを運営し多くのストリート・アーティストを紹介してきた細野晃太朗がゲストとして出展する。加えて、展覧会ゾーンに無料のスペースを設け、美術館を「より開かれた場所」にすることを目指す。

森田貴宏 photo:Yuichi Ohara
スティーブン・ESPO・パワーズ photo:Douglas Wirls
細野晃太朗 photo:NAMPEI AKAKI

 さらにSIDE COREは、2023年の奥能登国際芸術祭への出展だけでなく、2024年の能登半島地震以降、奥能登豪雨にも見舞われた能登半島に、ボランティアやリサーチ活動で何度も足を運んできた。同年には同館のアーティスト・イン・レジデンス(AIR)のプログラムにも参加し、芸術・文化に携わる人々と能登を訪れるプログラムも実施。本展でも、来館者が実際に能登を訪れる機会となるような関連イベントの開催を予定している。

2024年度の能登半島へのビジティングプログラムの様子