トレイシー・エミン、過去最大規模の個展「A Second Life」が来春テート・モダンで開催へ
テート・モダンで、イギリスの現代美術を代表するアーティスト、トレイシー・エミンの40年に及ぶ活動を総括する展覧会「Tracey Emin: A Second Life」が2026年2月から開催される。90点以上の作品を通じて、エミンの創作と人生をたどる。

テート・モダンが、イギリスの現代美術を代表するアーティスト、トレイシー・エミンの過去最大規模となる個展「Tracey Emin: A Second Life」を開催する。会期は2026年2月26日〜8月31日。
本展はエミンの活動40年を総括する調査展であり、90点以上の作品を通じて、その表現の変遷と人生の節目をたどるものである。展覧会は、1990年代に注目を集めたインスタレーションから最新の絵画やブロンズ彫刻に至るまで、絵画、映像、テキスタイル、ネオン、彫刻、インスタレーションといった多様な媒体を網羅する。エミンが一貫して取り組んできたのは、自らの身体と感情を率直に表現することによって、愛や痛み、癒やしを共有する試みである。今回の展示は、作家本人との密接な協働によって構想され、人生の大きな出来事を軸に作品群を再構成している。
エミンの故郷であるイギリス南東部マーゲイトは、作家活動の根幹に位置づけられてきた。母の死(2016年)やがん闘病(2020年)を経て、エミンは同地に定住し、無償のスタジオ型アートスクール「Tracey Emin Artist Residency」を設立した。本展では、マーゲイトでの記憶や体験に基づく作品も展示され、《Mad Tracey From Margate: Everybody’s Been There》(1997)や、《It’s Not the Way I Want to Die》(2005)がその代表例となる。

エミンはまた、性暴力や中絶といった社会的に語られることの少ないテーマに正面から取り組んできた。《I could have Loved my Innocence》(2007)や《Is This a Joke》(2009)はその象徴であり、《How It Feels》(1996)では自身の中絶体験を率直に語っている。さらに今回初公開されるキルト作品《The Last of the Gold》(2002)は、「中絶のA to Z」を題材に、同様の経験を持つ女性たちへのアドバイスを刻んだものだ。
