「琵琶湖疏水施設」が国宝、「太陽の塔」が重要文化財に
5月16日開催の「文化審議会文化財分科会」の審議・議決を経て、「琵琶湖疏水施設 第一隧道ほか3所1基」1件が国宝へ、「太陽の塔 1基」を含む8件が重要文化財へと指定された。

文化庁による、5月16日開催の「文化審議会文化財分科会」の審議・議決を経て、「琵琶湖疏水施設 第一隧道ほか3所1基」(滋賀県大津市、京都府京都市)1件が国宝へ、「太陽の塔 1基」(大阪府吹田市)を含む8件が重要文化財へと指定された。
「琵琶湖疏水施設 第一隧道」は、琵琶湖の湖水を京都へ疏通し、舟運(しゅううん)、灌漑(かんがい)、防火、発電、水道といった多岐の機能を果たす長大な人工運河の構成施設だ。西洋技術の習得過程にあった明治中期において、当時の土木技術の粋を集めて築かれ、世界的に高い評価を得た類い希まれなる構造物であり、明治日本における都市基盤施設の金字塔。その文化的意義からも今回国宝の指定となった。また、近代の土木構造物の国宝指定は、今回初となる。
いっぽうの「太陽の塔」は、昭和45年に開催された大阪万博のテーマ展示施設だ。芸術家・岡本太郎によるデザインを忠実に具現化するため、一流の学者や設計者、施工者が当時最先端の技術を結集し、巨大かつ特異な形状の構造物を実現した。高度経済成長期の日本を象徴した大阪万博の記念碑となる貴重なレガシーといえるだろう。現在開催中の大阪・関西万博にあわせての指定となった。

ほかにも、重要文化財として指定されたのは「スカイハウス(旧菊竹清訓自邸) 1棟」「旧京藤家住宅(福井県南条郡南越前町今庄) 2棟 主屋、土蔵」「建中寺本堂 1棟」「建中寺徳川家御霊屋 3棟 本殿・合間・経殿、唐門、透塀」「旧今井貯木場施設 3所、1基 貯木池、樋門、レール道堤、製板場基礎」「琵琶湖疏水施設 16所4基4棟 大津閘門及び堰門、大津運河、第一隧道、第二隧道、第三隧道、安朱川水路橋、第一〇号橋、第11号橋、インクライン、夷川閘門、南禅寺水路閣、第五隧道、第六隧道、日岡隧道、新旧両水連絡洗堰 、合流大津運河 隧道 、蹴上放水所、七瀬川放水所、蹴上浄水場第一高区配水池、旧御所水道大日山水源地喞筒所 、蹴上発電所旧本館、夷川発電所本館、伏見発電所本館、本願寺水道水源池」「旧下村家住宅洋館 1棟 」となった。