第18回「shiseido art egg 賞」はすずえりに決定。「通信」技術を通じて、社会の在り方や女性の生き方を問う
資生堂ギャラリーが実施する、新進アーティストのための公募プログラム「shiseido art egg」。その第18回の受賞者がすずえり(鈴木英倫子)に決定した。

資生堂ギャラリーが実施する、新進アーティストのための公募プログラム「shiseido art egg」。その第18回の受賞者がすずえり(鈴木英倫子)に決定した。入選者は大東忍、すずえり、平田尚也。
すずえりは、ピアノや自作の電子回路などを連動させた装置を用いてインスタレーションや即興演奏を手がけ、音やそれを媒介する通信技術の表象に物語性を見出そうとする作家だ。第2会期として開催されたすずえりの個展「Any girl can be glamorous」では、Wi-FiやGPSといった現代の通信技術の基礎を生み出した発明家でハリウッド女優のヘディ・ラマー(1914〜2000)の生涯にフォーカス。「通信」というテーマを通じて、社会の在り方や女性の生き方について問うものであった。

撮影=加藤健

撮影=加藤健
審査結果は、永山祐子(建築家)、星野太(美学者)、村山悟郎(美術家)の現代のクリエイティブシーンを牽引する3名によって決定。リサーチに基づいた通信と社会の関係や、実在の人物の生涯をめぐる多様な要素を、高精度で美しいインスタレーションで構成したこと。また、展示空間の鑑賞者を巻き込みながら、その姿も作品として取り込む試みなど、総合的な完成度が高く評価された。
今回の受賞にあたって、すずえりはプレスリリースのなかで次のようにコメントを寄せている。
このたびは貴重な賞をありがとうございます。入選者3名それぞれ全く違う作品で、誰が賞をとってもおかしくなかったと思います。並走いただいたキュレーターをはじめ、ギャラリーや設営、照明のかたがた、自分の身のまわりで手伝ってくれた人々、パフォーマーの2人、そしていらした方すべての人々の力で実現した展示です。自分がいままで経験し、できることすべてを反映させたつもりですが、今のタイミングでこの規模での作品を作る機会をいただけたことを感謝しています。
ますます困難な社会となっていますが、今回見えてきた軸のようなものをぶれずに抱えて、先に進んでいきたいと思います。
(プレスリリースより抜粋)