2025年度グッドデザイン賞 受賞結果が発表。大賞は坂茂による能登半島地震の仮設住宅に
10月15日、「2025年度グッドデザイン賞」受賞結果が発表された。今年度のテーマ「はじめの一歩からひろがるデザイン」を対象に応募があった5225件のうち1619件が受賞したほか、大賞には坂茂建築設計による能登半島地震の仮設住宅「DLT木造仮設住宅」が選ばれた。なお、受賞展は11月1日〜5日に六本木の東京ミッドタウン内各所で開催される。

公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「グッドデザイン賞」の2025年度受賞結果が発表された。審査委員長は齋藤精一、審査副委員長は倉本仁、永山祐子。
グッドデザイン賞とは、1957年に設立された日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨の仕組み。特別賞の「グッドデザイン大賞」「グッドデザイン金賞」「グッドフォーカス賞」が選出され、受賞対象のうち、とくに優れた100件が「グッドデザイン・ベスト100」となる。

本年度のテーマは「はじめの一歩からひろがるデザイン」。審査対象数5225件のなかから1619件が受賞し、「グッドデザイン・ベスト100」に選ばれたデザインから、金賞を含む特別賞33件が選出。最高賞である「グッドデザイン大賞」(内閣総理大臣賞)には、能登半島地震における仮設住宅の建設で、解体せずに恒久的に使い続けられる新たな仮設住宅のモデルを実現した「DLT木造仮設住宅」が選ばれた。


このプロジェクトは、建築家・坂茂(1957〜)が代表を務める坂茂建築設計によるもの。木材に穴をあけて並べたものに木ダボを差し込み、接着剤を使わずにパネル化したDLT(Dowel Laminated Timber)を、箱型のユニットにして積み上げることで工期を短縮。これまでに珠洲市と輪島市において計12棟・166世帯分の2階建て仮設住宅を建設した。東北大震災での支援経験を含め、多くの災害への建築的対応を実践してきた坂。これまでの知見を踏まえた、効率的かつ被災者にとって安心感のある空間づくりが高く評価された。
災害後に建設される従来のプレファブ仮設住宅は、高額な建設費用にもかかわらず、住み心地が悪いうえ数年で廃棄されます。我々は東日本大震災や熊本地震後に、プレファブ仮設住宅と同じ広さ・同じ建設費で、住み心地の良い仮設住宅を作ってきました。その後、恒久的に使える木造住宅を開発してきました。それが今回の能登地震の被災地で実現したDLT木造仮設住宅です。仮設住宅でも、被災者の精神的・肉体的負担をなくすため、住み心地が良く、その後解体して廃材を出さない、環境への負荷を最小限にする取り組みが重要であると考えます。
坂茂建築設計 坂茂
プレスリリース「グッドデザイン大賞受賞者のコメント」より引用
なお、ウェブ版「美術手帖」では、珠洲市で実施された坂茂による「被災地支援プロジェクト」を昨年7月に現地取材している。当時のレポートもあわせてご覧いただきたい。

















