2025.10.18

25年度の文化勲章に辻惟雄、文化功労者に坂茂、イケムラレイコら

2025年度の文化勲章受章者・文化功労者が発表された。

坂 茂 撮影=稲葉真
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 政府は2025年度の文化勲章受章者8名と文化功労者21名を発表した。

 文化勲章では、美術の分野から美術史家・辻惟雄が受章。辻は1970年に刊行した『奇想の系譜』(美術出版社)で広く知られ、いまや大きな人気を集める伊藤若冲や歌川国芳らに光を当てた。日本美術ブームの火付け役のひとりといえる存在だ。

 なお文化勲章の他の受章者は、王貞治、片岡仁左衛門、川島康生、北川進、小松和彦、コシノジュンコ、山本尚となった。

 いっぽう文化功労者では、美術家・イケムラレイコと建築家・坂茂が選ばれた。

 イケムラは絵画や彫刻、ド ローイング、写真、詩といった多岐に渡る表現を駆使し、この世に存在するものの生成と変化の諸相、そこに潜む無限の可能性を表現するという根源的な芸術の課題に対峙した作品群は、国内外から高い評価を受けている。

「イケムラレイコ 土と星 Our Planet」(国立新美術館、2019)より

 また坂は40年にわたり、国内外で数多くの建築作品を手がけてきた。代表作品はポンピドゥー・センター メスや紙のカテドラル、大分県立美術館、ラ・セーヌ・ミュジカル、静岡県富士山世界遺産センター 、スウォッチ・オメガ本社、下瀬美術館豊田市博物館、ブルーオーシャン・ドームなどがある。80年代より再生紙を建築資材に使う独自の構造を開発し、作品づくりと並行して、世界各地で災害支援活動に取り組んでおり、昨年には第35回世界文化賞を受賞している。

下瀬美術館