2025.11.5

東博の《源氏物語図屏風》修復のためのクラウドファンディングが目標を達成。4000万円を超える寄付が集まる

取り壊し間近の民家で発見された伝 土佐光孚筆《源氏物語図屏風》 (江戸時代、19世紀)を修理するための、東京国立博物館によるクラウドファンディングが3000万円の目標金額を達成した。

 東京国立博物館が募っていた、取り壊し間近の民家で発見された伝 土佐光孚筆《源氏物語図屏風》(江戸時代、19世紀)を修理するためのクラウドファンディングが、3000万円の目標を達成。11月5日現在で目標を大きく上回る4000万円を超える支援が集まっている。

 《源氏物語図屏風》は、2024年11月、東京都内の古民家で発見された一双の屏風。家屋の取り壊しに伴い廃棄される危機に直面していたが、東京国立博物館の研究員が現地で調査した結果、貴重な文化財であることが判明。所有者の厚意により同館が引き取ることが決まった。

 本作は題名のとおり、紫式部による『源氏物語』を題材にした作品で室町時代から続く土佐派の伝統を感じさせる荘厳さを持つ。屏風の一隻の大きさは、縦約160センチメートル、横約370メートルで、一対の屏風として並べると、全長7メートルにも及ぶ。『源氏物語』作中の場面が、全18場面描かれており、金色の雲をかいくぐるように描かれ、貴族文化の華やかな世界を覗き見ているような演出が感じられるものだ。

 しかしながら、本作は各パネルをつなぐ蝶番が壊れ、絵具の剥落や猫による引っ掻き傷、虫食いが見られるなど、極めて危険な状態にある。迅速な修復が必要なものの、国宝や重要文化財を含む多くの文化財が修理を待っている状況にあり、本作のような未指定の文化財の修理費用を捻出することは容易ではないという現状があった。こうした背景から、本クラウドファンディングが実施されることになった。

 このクラウドファンディングは、10月23日にVTuberの儒烏風亭らでんが配信で支援を呼びかけなどもあり、10月後半にかけて支援者が増加。11月3日に目標支援額の3000万円を達成した現在も支援総額が伸びており、募集終了日の12月9日までにどれだけの額になるのか、注目が集まる。