2025.9.18

国立民族学博物館がシルクロード考古遺物の日本初公開に向けたクラウドファンディングを実施中。返礼に森薫との限定コラボグッズも

大阪・吹田の国立民族学博物館が、ウズベキスタンの世界遺産「カフィル・カラ遺跡」より出土した考古遺物の日本初公開を目指し、READYFORでクラウドファンディングを開始した。

「国立民族学博物館|1000年の時を越える文化財。海を渡り日本へ」クラウドファンディングページ(https://readyfor.jp/projects/akindo-gatari)より
前へ
次へ

 大阪・吹田の国立民族学博物館が、ウズベキスタンの世界遺産「カフィル・カラ遺跡」より出土した考古遺物の日本初公開を目指し、READYFORでクラウドファンディングを開始した。目標金額は400万円。

 日本とウズベキスタンは、 2013年度から共同で調査隊を組み、サマルカンド近郊に所在するカフィル・カラ遺跡において継続的に発掘調査を実施してきた。 国立民族学博物館も2019年より、ウズベキスタンのサマルカンド考古学研究所と共同調査隊を組織し、6~8世紀を中心にソグド商人として東西のシルクロード交易で活躍したソグド人の歴史と文化、およびシルクロード交流の実態解明を目指して調査に参画している。

カフィル・カラ遺跡 (c)日本・ウズベキスタン共同調査隊

 発掘調査開始から4年後の2017年には、ソグド人が信仰するゾロアスター教に類似した宗教の神である女神ナナを中心に、供物を捧げる人々や、楽器を持つ音楽隊が彫られた木彫板を発掘。木彫板は、遺跡のシタデル(城塞部)の一番奥まった部屋(王が居た部屋とも考えられる)から発見。カフィル・カラ遺跡は、8世紀初頭に火災に遭っており、木彫板も焼けて炭化していたが、炭化したからこそ千数百年の間、地中に埋もれても腐って土に帰らずに現代まで残存していた。木彫板がこれだけ完全な形で発見されたのはウズベキスタン国内でもかつてない発見となった。

左:女神ナナ頭部 右:木彫板修復後全体像 (c)日本・ウズベキスタン共同調査隊

 この「木彫板」は、これまでルーブル美術館や大英博物館で展示されたことはあるが、高額な輸送費が壁となり、日本人研究者が発掘に関わったにも関わらず、まだ一度も来日したことがない。国立民族学博物館は特別展「シルクロードの商人(あきんど)語りーサマルカンドの遺跡とユーラシア交流―」(2026年3月26日〜6月2日)を企画しており、この「木彫板」の展示を目指しているが、昨今の国際情勢や燃料費の高騰により、輸送費は当初の想定を大きく上回る見込みとなっている。そこで、出土資料を日本まで持ってくるための輸送費に充てるため、クラウドファンディングが開始された。

 支援プランは5000円〜50万円(+システム利用料)と様々で、 返礼品には同館オリジナルグッズや、『エマ』『乙嫁語り』などで知られる漫画家・森薫が書き下ろしたオリジナルキャラクターグッズ、ウズベキスタンの名産品、現地見学会などが用意されている。