「モネ 睡蓮のとき」(京都市京セラ美術館)開幕レポート。視力を失いつつあった晩年の制作に迫る
国立西洋美術館で開催され大きな話題を集めた「モネ 睡蓮のとき」が、京都市京セラ美術館に巡回し、幕を開けた。全67点で“光の画家“と称されるモネの表現の集大成に迫る展示だ。会期は6月8日まで。

印象派を代表する画家のひとりであるクロード・モネ(1840〜1926)は晩年、視力を失いながらも色と光の表現を探求した。3月7日に京都市京セラ美術館で開幕した「モネ 睡蓮のとき」展は、具象と非具象との境界も曖昧になり、印象派の極限ともいえる表現の極地に到達した“光の画家”の、1910年代以降の作品を中心に構成されている。
パリのマルモッタン・モネ美術館より、日本初公開も含むおよそ50点の作品が来日。国内の美術館収蔵作品とあわせて展示される貴重な機会となっている。展覧会担当は、京都市京セラ美術館の中山摩衣子学芸員。「睡蓮の池を描いた巨大な絵画で楕円形の部屋の壁面を覆う『大装飾画』という、モネの構想を体感できる部屋も設置し、見どころ満載の展示になっている」と中山は話す。

展示は全4章とエピローグで構成される。第1章「セーヌ河から睡蓮の池へ」は、移り住んだジヴェルニーの土地と家を買い取り、終の棲家とした1890年以降に生まれた表現にフォーカスする。彼の画業を通じて主要なモチーフであり続けたセーヌ河に加え、繰り返し訪れたロンドンの風景など、のちの「睡蓮」の表現を予見させる水面の反映による鏡像に主眼が置かれた作品の数々が集結した。



