2025.8.5

「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」が10月に開館。展示作品の一部が先行公開

10月7日にオープンが予定されているチームラボの新たな常設ミュージアム「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」。オープンに先んじて公開された本施設の作品を紹介したい。

文・撮影=安原真広(ウェブ版「美術手帖」副編集長)

展示風景より、《呼応するランプの森:One Stroke - Fire》
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 10月7日にオープンが予定されているチームラボの新たな常設ミュージアム「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」。公式ウェブサイトにてチケットの販売が開始された本施設が、オープンに先んじて公開された。

 本施設は京都市が京都駅東南部エリアにおける市有地で実施する「新たな価値を生み出す『創造・発信拠点』となる施設」を設置、運営するプロジェクトの一環としてつくられ、展示面積は国内のチームラボ施設としては最大となる約1万平米。チームラボは、アートミュージアムのほか、アートギャラリー、市民ギャラリー、カフェなどの施設を計画しており、プロジェクトを通して京都市の文化芸術や若者を基軸としたまちづくりの推進に貢献するとしている。開館に先立ち、一部の作品が公開されたので紹介したい。

チームラボ バイオヴォルテックス 京都

《Massless Amorphous Sculpture》は、浮遊する石鹸と空気によりつくられた巨大な彫刻による作品。泡の海から物質が生まれ続ける空間に入り込むことにより、環境と現象そのものが彫刻になるというコンセプトだ。

展示風景より、《Massless Amorphous Sculpture》

 レインコートとマスクを着用して空間の内部に入ると、青い照明に照らされながら、浮遊する泡の彫刻に包まれる。泡は自己生成によって小さな泡を集めて巨大化し、また人や壁にぶつかって壊れたとしても再び泡を集めながら自己修復する。高い天井高とミラーに囲まれた空間で、没入しながらこの彫刻を体感することができる。

展示風景より、《Massless Amorphous Sculpture》

 《呼応するランプの森:One Stroke - Fire》は、東京・お台場の「チームラボ ボーダレス」に2018年から2022年まで展示されていた作品。ハンドメイドのヴェネチアングラスによるランプがランダムに配置された部屋となっている。

展示風景より、《呼応するランプの森:One Stroke - Fire》

 ランプの光は鑑賞者や他者の関係性に影響を受けながら、連続性をもって、連なるように点灯していく。チームラボが大切にしているという「つながり」を、光の連鎖によって表現した作品だ。

展示風景より、《呼応するランプの森:One Stroke - Fire》

 《Morphing Continuum》は、大量の金属色の球体が敷き詰められた空間そのものが作品となっている。本作の内部に入ると、風圧とともに大量の球体が浮き上がり、うねりのような動きを生み出しす。

展示風景より、《Morphing Continuum》

 球体はときに塔のように積み重なり、周囲の景色を飲み込むような巨大な渦となっていく。こちらも環境によって現象を作品化する作品のひとつといえるだろう。

展示風景より、《Morphing Continuum》

 京都とのつながりが強く感じられる、杜若をモチーフとした作品は、まだタイトルがつけられていない。遠近法ではない平面的な3Dモデルでつくられた巨大な杜若は、咲き誇るとともに枯れていき、その儚さの美までを表現する。

展示風景より

 チームラボはこれまで京都の寺社空間や古典の演技空間などを、作品づくりのヒントにしてきたという。こうした観点からも、本作は施設におけるアイコニックな存在といえるだろう。

 《鳥道》は数十万匹の鳥の群れを表現した作品。まだ解明されきっていない、鳥の群れの形成の秩序に着想し、天井の半球型のスクリーンで鳥たちが飛び回る。床に座って夜空を見上げるように作品を見れば、映像が黒いタイルにも映りこみ、上下がわからなくなるような感覚を得ることができる。

展示風景より、《鳥道》

 ほかにも新作や日本未発表作品をはじめ、本施設には数多くの作品がインストールされる予定となっている。