「幕末土佐の天才絵師 絵金」(サントリー美術館)開催レポート。芝居絵屏風で知られる絵金の画業に迫る
東京・六本木のサントリー美術館で「幕末土佐の天才絵師 絵金」が開催されている。本展はあべのハルカス美術館、鳥取県立博物館からの巡回であり、東京の美術館では初の大規模展となる。会期は11月3日まで。

東京・六本木のサントリー美術館で、幕末から明治初期にかけて数多くの芝居絵屏風を残した絵金(1812〜76)を取り上げた「幕末土佐の天才絵師 絵金」が開催されている。本展はあべのハルカス美術館(2023)、鳥取県立博物館(2024)からの巡回であり、東京の美術館では初の大規模展となっている。会期は11月3日まで。
土佐の絵師・金蔵、通称「絵金」は、高知城下・新市町(現・はりまや町)の髪結いの子として誕生したとされる。幼少時より画才のあった金蔵は、同じ町内の南画家や土佐藩御用絵師に絵を学び、18歳のとき、土佐藩主の息女・徳姫の駕籠かきの名目で江戸にいく。江戸では、駿河台狩野派の土佐藩御用絵師・前村洞和(まえむらとうわ)の下で3年間修業し、帰郷後は土佐藩家老の御用絵師となった。
しかしその後、いまだに理由は不明だが、城下を追放され町絵師となる。一説によると贋作の制作依頼を受けたことがその原因とされているが、確かな資料は残っていないという。ただ、墓碑銘によると絵金から手ほどきを受けた者は数百人おり、明治9年(1876)に65歳で亡くなった後も、絵金と弟子筋の手による芝居絵屏風や絵馬提灯が多数残っている。