EXHIBITIONS

やんツー「Homage to New York」

WALL_alternative
2025.06.04 - 06.28

メインヴィジュアル

 WALL_alternativeで、デジタル・メディアの思考を基盤に、公共圏における表現にインスパイアされた作品を多く制作するやんツーによる個展「Homage to NewYork」が開催されている。

 やんツーは、セグウェイが作品を鑑賞するインスタレーションや、AIを用いた自動描画マシンなど、機械が人間の行為を代行する「自律的な装置」を用いた作品を制作。近年では、自身が用いる技術の根幹にあるエネルギーの在りかを追求する作品を展開している。このように人々のインフラとなるテクノロジーを批評的にまなざす作品を通じて、テクノロジーと人間の関係性を問い直すとともに、表現の主体や身体性について新たな視点を創出する。

 本展では、昨年ACC(アジアン・カルチュラル・カウンシル)の助成を受けて、ニューヨークやその他アメリカ各所で半年間リサーチを行ったやんツーが、その経験をもとに新作を制作し、展覧会を構成。展覧会タイトルは、キネティック・アートの先駆者ジャン・ティンゲリーが1960年にMoMAの庭で発表した大規模な上演形式のキネティック作品《Homage to New York(ニューヨーク讃歌)》に由来。同作品は上演が進むにつれ次第に自壊し最終的に炎上するというものであった。

 今回の展示では、7メートルに及ぶ壁面に、滞在中に得た記録素材をコラージュした巨大作品を展示し、滞在経験に紐づいた手法を通じて、ニューヨークでの体験が視覚的に再構成された。また「遅いミニ四駆」シリーズの新作が、会場を囲む全長15メートルに及ぶ特設コースを徐行。

 さらに、ラジカセと端材、現地で録音した音声を用いたサウンドインスタレーションや、やんツーが「E.A.T.(Experiments in Art and Technology)」のメンバーであるジュリー・マーティンを取材したインタビュー映像、代表作「脱成長のためのイメージ」シリーズの最新作など、新作10点以上を発表している。