EXHIBITIONS

風景と創 -山水土瓶こうこう-

2025.07.19 - 08.30
 GALLERY MoMo Ryogokuで、増子博子による企画展「風景と創(きず)-山水土瓶こうこう-」が開催されている。

 本展は、増子が2020年に栃木県益子町で出会った山水土瓶を起点とした、これまでのプロジェクトの延長線上にある。増子は、本展に至るまでに、2024年5月に濱田窯長屋門(益子町)の協力を得て開催された座談会「山水土瓶こうこう」、Cyg art gallery(2020、盛岡)での個展「よくよく、沃野」、松坂屋静岡店 blanc CUBE 2.3(2023、静岡)での「うつろう景色」などを展開してきた。

 展覧会タイトルにある「山水土瓶こうこう」は、柳宗悦が1932年に雑誌『工藝』に寄せた「土瓶考」に由来するとともに、「孝行」の意味も込められている。ここには、先人たちから受け継がれてきた知恵や技術を未来へと手渡すという思いが込められている。

 増子は次のように語っている。

「風景とは、記憶であり、感覚であり、そして世界とのつながりのかたちです。創(きず)とは、破れとともに立ち上がる自己の輪郭であり、その開かれは新たな風景の始まりでもあります」(展覧会ウェブサイトより)。

 本展では、増子が益子での山水土瓶にまつわる聞き取りをもとに制作したドローイングや刺繍作品、日本各地で描かれてきた山水土瓶を展示。また、山水土瓶に描かれた山水を実際に描いてみるワークショップなどの活動を展開してきた岩見晋介による作品、山水土瓶や山水汽車土瓶の制作を通じて、その継承に取り組む木村晃基の作品も紹介。さらに、柳宗悦や濱田庄司の研究を続ける佐々風太によるテキスト『セザンヌと山水』、濱田庄司記念益子参考館館長であり、濱田窯代表でもある濱田友緒による土瓶作品もあわせて展示している。