EXHIBITIONS

空白の翼廊

HENKYO
2025.09.06 - 09.27
 HENKYOで、小森紀綱と山田康平による二人展「空白の翼廊」が開催される。

 展覧会タイトル「空白の翼廊」は、ある彫刻家の内的物語を通して空間と記録、創作と記憶の交錯を描いたテキストから着想されている。男が見た夢のなかでは、果てしなく続く書架に無数のデッサンや設計図が並び、そのなかには彼自身も知らない記録が含まれていた。通行人の問いかけにより「記録」と「空白」の違いを意識させられた男は、終わりのない創作への衝動に再び駆られる。象徴的な出来事として、彫られた鳥の石像が空から落ちてくる描写が語られており、現実と夢、記憶と想像が交錯する世界が静かに示唆される。

 本展では、こうした物語性を背景に持つ彫刻作品を通して、見る者に「何をつくるか」「なぜつくるのか」といった創作の根源的な問いを投げかける。ふたりの作家が生み出す表現の対話を通じて、鑑賞者自身も空白の書架に向きあう体験を得ることとなるだろう。