ガウディ、ピカソ、ミロが愛した地。「奇蹟の芸術都市バルセロナ」展が東京ステーションギャラリーに巡回
1850年代から1930年代後半までの80年間で、芸術がもっとも成熟したスペイン・カタルーニャ自治州の州都バルセロナ。ガウディやピカソ、ミロ、ダリなどが多彩な活動を繰り広げた同地の熱気を伝える作品約130点を紹介する「奇蹟の芸術都市バルセロナ」展が、東京ステーションギャラリーに巡回する。会期は2020年2月8日〜4月5日。
スペイン・カタルーニャ自治州の州都バルセロナは、食文化やスポーツ、世界遺産のサグラダ・ファミリアなど豊かな観光資源を有する都市。とくに都市の近代化が進んだ1850年代から1930年代後半のスペイン内戦にいたるまでの80年間は、カタルーニャ芸術がもっとも成熟した時期だった。
そんな世紀末カタルーニャの熱気を伝える「奇蹟の芸術都市バルセロナ」展が、東京ステーションギャラリーに巡回する。会期は2020年2月8日~4月5日。
18世紀初頭、スペイン継承戦争により自治権を失ったカタルーニャは徐々に活気を取り戻すいっぽう、都市部の人口増加が衛生環境の悪化を招き、1859年にイルダフォンス・サルダーによる都市拡張プランを採用。碁盤の目のように整備された街は近代化が進み、88年には万国博覧会も開催される。またカタルーニャ独自の言語と文化の復興運動「ラナシェンサ」が興り、文化的アイデンティティが確立していく。
19世紀後半、富を得たブルジョワジーはこぞって邸宅を建て、アントニ・ガウディ設計による《カザ・バッリョー》をはじめとする名建築が生まれた。そして、画家のラモン・カザスとサンティアゴ・ルシニョルは19世紀末に渡仏。ルシニョルは帰国後、バルセロナ近郊の小村シッジャスで、美術・音楽・演劇のジャンルを超えた総合芸術を目指す「ムダルニズマ祭」を主宰した。
97年には、カザスをはじめとする4人がカフェ「四匹の猫」をオープン。芸術家や知識人のたまり場であった店は、カタルーニャ文化の発信地となった。また若き日のピカソも通って常連の姿を多く描き、同店ではじめての個展を開いている。続く98年、米西戦争敗北を機に、カタルーニャではスペイン中央政府との対立が激化。保守的思想が強くなり、芸術に置いては地中海文明への回帰を特徴とする「ノウサンティズマ」と呼ばれる動きが生まれた。
その後の1920年代には、ピカソに続いてミロやダリがパリに進出し、やがてシュルレアリスムの中心人物となる。またル・コルビュジエに影響を受けたバルセロナの建築家がグループを結成するなど、建築界でも前衛的動向が生まれた。そして36年にはスペイン内戦が勃発し、フランコ率いる反乱軍とカタルーニャを含む人民戦線軍が交戦するなか、反乱軍はバスク地方・ゲルニカを攻撃。ピカソをはじめとする多くの芸術家が立ち上がった。
本展では1850年代から1930年代後半までの時代の流れを追って、絵画、ドローイング、彫刻、家具、宝飾品など約130点を紹介。多くの建築家や芸術家が多彩な活動を繰り広げた、その軌跡を見ることができるだろう。