京都・茶道具の老舗「清昌堂やました」が新たなプロジェクトスペースをオープン。こけら落としは串野真也の個展
1847年、京都創業した茶道具の老舗「清昌堂やました」が今年4月、新たにプロジェクトスペース「清昌堂やました THE ROOM」をオープンさせた。そのこけら落としとして、アーティスト・串野真也の個展「忘却の旅人─人間讃花」が開催されている。
裏千家と表千家を中心に、茶道具屋などが軒を連ねる京都市上京区の禅昌院町。この地にある1847年創業の老舗「清昌堂やました」が、新たなプロジェクトスペースとして「清昌堂やました別館 THE ROOM」を4月にオープンさせた。
170年という長い歴史を持つ清昌堂やましたはこれまで新古茶道具を取り扱ってきたが、このスペースは京都の次世代への支援にフォーカスしたものとなる。そのこけら落としとして開催されているのが、京都を拠点に活動するアーティスト・串野真也の個展「忘却の旅人─人間讃花」(〜6月25日)だ。
これまで自然や動物など、人間と対峙するようなモチーフをコンセプトに作品を制作してきた串野。その作品は東京都庭園美術館で行われた「奇想のモード」展で大きなインパクトを与えた。いっぽう本展出品作では、人間そのものの歩みや歴史、死生観などが取り入れられており、新たなフェーズであることがわかる。
無骨さを感じさせるブロンズと極めてシンプルな革靴を組み合わせ、人間の歩みや命そのものへと賛美を送る串野の新作群。伝統と技術を取り入れながら、「靴」を彫刻作品へと昇華させたその試みに注目してほしい。