2024.9.13

三連休に見たい展覧会ベスト15。ポール・ケアホルムからLOVEファッション、塩田千春まで

今週開幕・閉幕する展覧会から、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

塩田千春 インターナルライン 2022
Photo by Anders Sune Berg ©JASPAR, Tokyo, 2024 and Chiharu Shiota
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もうすぐ閉幕

「ポール・ケアホルム展 時代を超えたミニマリズム」(パナソニック汐留美術館

展示風景より

 パナソニック汐留美術館で「織田コレクション 北欧モダンデザインの名匠 ポール・ケアホルム展 時代を超えたミニマリズム」が9月16日に閉幕する。レポート記事はこちら

 ポール・ケアホルム(1929~80)は、20世紀デンマークを代表する家具デザイナー。ケアホルムの特徴は、当時では珍しく、石や金属などの硬質な素材を取りあわせた厳格なデザインにある。それでいて各々の家具は決して冷たい印象は与えず、置かれる空間に心地よい緊張感をもたらすと言える。

 本展は、長年にわたり椅子研究と収集を続けてきた織田憲嗣のコレクションを中心に、ケアホルムの主要作品を網羅した、日本の美術館では初めての展覧会だ。織田コレクションを有する北海道東川町の協力のもと、家具約50点と関連資料を展示。また、ケアホルムのデザイン哲学と洗練された家具の造形美を、気鋭の建築家・田根剛の会場構成にて紹介している。

会期:2024年6月29日~9月16日
会場:パナソニック汐留美術館
住所:東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(7月5日、8月2日、9月6日、13日、14日は〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで 
料金:一般 1200円 / 65歳以上 1100円 / 大学生・高校生 700円 / 中学生以下 無料

「髙田賢三 夢をかける」(東京オペラシティ アートギャラリー

展示風景より

 ファッションブランド・KENZOの創設者・髙田賢三(1939〜2020)。その没後初となる大規模個展「髙田賢三 Takada Kenzo」が、9月16日まで東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーで開催されている。レポート記事はこちら

 本展は髙田が手がけてきたコレクションのルックの数々を一堂にて紹介。徹底して髙田のつくった洋服の数々に焦点を当てることで、その仕事を振り返る展覧会となっている。

 会場では、髙田のファッションの変遷を衣装展示でたどるとともに、幼少期から描いていた絵画やアイデアの源泉となった資料、衣装のデザイン画などが紹介。多角的な視点で人物像を浮かび上がらせ、日本人デザイナーのパイオニアとして世界で活躍した髙田賢三の生涯にわたる創作活動を回顧する。

会期:2024年7月6日〜9月16日
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:11:00〜19:00 ※入場は閉館の30分前まで
料金:一般 1600円 / 大学・高校生 1000円 / 中学生以下無料

「浅間国際フォトフェスティバル 2024 PHOTO MIYOTA」(MMoP)

展示風景より

 2018年にスタートした「浅間国際フォトフェスティバルPHOTO MIYOTA」。その5回目は9月16日に閉幕を迎える。レポート記事はこちら

 浅間国際フォトフェスティバルは、国内外の優れた写真家たちの作品を屋内外に展示し、ほかにもイベント、ワークショップを通じて、写真の楽しさを世界に発信するアートフォトの祭典だ。長野県浅間山麓の美しい自然のなかで、五感で感じられる様々な写真体験を届ける。

 今年は「写真の中の記憶」をテーマに、世界各地から集まった17組の写真表現が紹介されている。参加アーティストは、武村今日子、ニコンフォトコンテスト、高木康行、吉楽洋平、サンドラ・カンタネン、ロエベ財団、エルザ&ジョアナ、山谷佑介、バハラ・シッカ、余宮飛翔、コンスト、横浪修、システム・オブ・カルチャー、カルロス・イドゥン・タウィア、須田一政、カート・トン、鈴木理策。

会期:2024年7月20日〜9月16日
会場:MMoP(モップ)
住所:長野県北佐久郡御代田町大字馬瀬口1794-1
開場時間:10:00~17:00 ※入場は閉場の30分前まで
料金:一般 1000円(屋外展示は無料) / 中学生以下 無料

今週開幕

「花鳥風月―水の情景・月の風景」(皇居三の丸尚蔵館)

展示風景より、左から上村松園《雪月花》(1937、昭和12年)、橋本関雪《暮韻》(1934、昭和9年)

 皇居東御苑内にある皇居三の丸尚蔵館で、雨などの水の景色や、月をあらわした風景などの作品を、皇室伝来の収蔵品のなかから紹介する「花鳥風月―水の情景・月の風景」が始まっている。レポート記事はこちら

 本展は、美しい自然をあらわす「花鳥風月」のなかでも、水や月にまつわる景色を表した収蔵品を紹介するもの。会場は大きくふたつの章に分けられており、ひとつめの章は「水のかがやき、月のきらめき—工芸品」と題され、江戸時代から大正時代にかけての、漆工や金工などの工芸品を紹介。ふたつめの章は「水と月、四季のうつろい—絵画と書跡」と題して、月や雨の姿を絵画や詩歌で表した作品が並ぶ。

  古くから愛されてきた雨雪や月といったモチーフを多彩な技法で表現した名品を会場で楽しんでほしい。

会期:2024年9月10日~10月20日
会場:皇居三の丸尚蔵館
住所:東京都千代田区千代田1-8 皇居東御苑内
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル) 
開館時間:9:30~17:00(9月10日は13:00〜、9月27日・10月18日を除く金土は〜20:00)※入館は閉館の30分前まで 
休館日:月(ただし、9月16日、9月23日、10月14日は開館し、翌火休館)
料金:一般 1000円 / 大学生 500円 / 高校生以下および満18歳未満、満70歳以上 無料

特別展「眼福―大名家旧蔵、静嘉堂茶道具の粋」(静嘉堂文庫美術館

展示風景より、ギャラリー2「憧れの茶入―"大名物"、"中興名物"の賞玩」

 東京・丸の内の静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)で、特別展「眼福―大名家旧蔵、静嘉堂茶道具の粋」が9月10日にスタートした。レポート記事はこちら

 静嘉堂所蔵の茶道具は、三菱第2代社長・岩崎彌之助(1851~1908)とその嗣子で第4代社長の岩崎小彌太(1879~1945)の父子二代によって、1884年頃から1945年までに収集されたものだ。

 本展は静嘉堂として8年ぶりの茶道具展。将軍家や大名家旧蔵の由緒ある墨跡や花入、茶入や名碗をはじめ、著名な茶人たちの眼にかなった、姿、かたちの美しいものから渋みや風格をたたえた作品までが一堂に会すものとなっている。

会期:[前期]2024年9月10日~10月6日、[後期]2024年10月8日~11月4日
会場:静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)
住所:東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1F
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:10:00~17:00(土は〜18:00、第4水曜日 9月25日、10月23日は〜20:00)※入館は閉館の30分前まで 
休館日:月(ただし、9月16日、9月23日・10月14日、11月4日は開館)、9月17日、9月24日、10月15日、11月5日 ※10月28日はトークフリーデーとして開館 
料金:一般 1500円 / 大高生 1000円 / 中学生以下 無料

「北アルプス国際芸術祭2024」(長野県大町市)

ルデル・モー タイトル未定 北アルプス国際芸術祭2024作品プラン

 長野県北西部の大町市で、2017年より開催されている「北アルプス国際芸術祭」。その第3回目となる「北アルプス国際芸術祭2024」が9月13日に開幕する。

 今回の会場は、市街地エリア、ダムエリア、源流エリア、仁科三湖エリア、東山エリアといった、大町市の特色が色濃く現れる5エリア。今年は信濃大町の魅力とも言える「水・木・土・空」をテーマに掲げ、10の国と地域から31組のアーティストが参加する。

 鈴木理策、村上慧、エカテリーナ・ムロムツェワ、ソ・ミンジョン、ヨウ・ウェンフー、ルデル・モーらによる新作のほか、目[mé]やジミー・リャオ(幾米)、淺井裕介、松本秋則などのアーティストが第1回〜2回で発表した既存作品も見ることができる。

会期:2024年9月13日〜11月4日
会場:長野県大町市(5つのエリア|市街地、ダム、源流、仁科三湖、東山) 
休館日:水 
パスポート料金:一般 前売2500円(当日3000円) / 16〜18歳 前売1000円(当日1500円) / 15歳以下無料

「LOVEファッション―私を着がえるとき」(京都国立近代美術館

ロエベ/ジョナサン・アンダーソン ドレス 2022年秋冬 ©京都服飾文化研究財団 撮影=来田猛

 京都国立近代美術館と京都服飾文化研究財団(KCI)による展覧会 「LOVE ファッション 私を着がえるとき」が、9月13日に京都国立近代美術館で開幕する。

 本展は、18世紀から現代までの衣装コレクションを、人間あるいは生物の根源的な欲望や本能を映し出すアート作品とともに展示することで、装いに みられる様々な「LOVE」のかたちを取り上げる試みだ。 

 デザインを極限までそぎ落としたミニマルなヘルムート・ラングや、ヴァージニア・ウルフ『オーランドー』に触発されたコム デ ギャルソンなどの衣服に加え、身近な友人との日常を切り取ったヴォルフガング・ティルマンスの写真や、同世代の女性たちのインタビューを題材とるう松川朋奈の絵画、ヤドカリの姿に人のアイデンティティを重ね合わせたAKI INOMATAの作品なども展示される。

会期:2024年9月13日〜11月24日
会場:京都国立近代美術館
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町26-1
電話番号:075-761-4111
開館時間:10:00~18:00(金は〜20:00)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし、9月16日、9月23日、10月14日、11月4日は開館)、9月17日、9月24日、10月15日、11月5日
料金:一般 1700円 / 大学生 1100円 / 高校生 600円 / 中学生以下、心身に障がいのある方と付添者1名 無料

「ムーンアートナイト下北沢2024」(下北線路街ほか)

ルーク・ジェラムによる《Museum of the Moon》

 昨年は約40万人が来場したという、下北沢の街を舞台とした、「月」がテーマのアートフェスティバル「ムーンアートナイト下北沢」。その第3回目が9月13日〜29日の17日間で開催される。

 今年は、企画に賛同する地域団体が昨年の倍となる約70、総企画数が約90に増え、さらにパワーアップ。地域住民やイベント参加者と一体となり、コミュニティを醸成しながら、シモキタエリアの滞在を一層充実させる秋の風物詩となることを目指すという。 

 シンボル作品は、下北線路街空き地に展示される、ルーク・ジェラムによるNASAの月面写真を基とした直径7メートルの大作《Museum of the Moon》だ。同作は今年で3年連続の登場となる。ほかにも、全身で幻想的な空間が体験できる様々な作品を楽しむことができる。

会期:2024年9月13日~29日
会場:下北線路街ほか
作品展示時間:全日15:00〜21:00
料金:無料(一部有料) 

「GO FOR KOGEI 2024」(富山県富山市(岩瀬エリア)、石川県金沢市(東山エリア))

外山和洋 Biophilia; Ephemeral Vase 2021 作家蔵
Photo by Ichikawa Shinichi

 富山県富山市(岩瀬エリア)、石川県金沢市(東山エリア)で「GO FOR KOGEI 2024」が9月14日から開催される。

 GO FOR KOGEIは、北陸から工芸の魅力を発信する取り組みとして、2020年から毎年開催している催しだ。これまで工芸を、それと隣接する現代アート、アール・ブリュット、デザインなど、様々なジャンルとともに横断的に紹介することで「工芸」という言葉からこぼれる、豊かで広がりをもった姿として提示してきた。

 本展では、アルチザン、クラフトマン、デザイナー、アーティストが集まり、素材、技法、用途、表現といった近代工芸の特徴に改めて着目して、今日の多様な工芸と隣接するアートを紹介する。会場は、昨年からの継続となる岩瀬エリア(富山市)に、新たに金沢市の東山を加えて、2つのエリアで開催されることになる。

会期:2024年9月14日〜10月20日
会場:富山県富山市(岩瀬エリア)、石川県金沢市(東山エリア)
開館時間:10:00〜16:30 ※入場は16:00まで
休館日:沙石(火曜)、SKLo(水曜)ほかは会期中無休
パスポート料金:一般 2500円 / 学生 2000円 / 高校生以下無料

「西川勝人 静寂の響き」(DIC川村記念美術館

展示風景より

 2025年1月下旬から休館が決まったDIC川村記念美術館で、「西川勝人 静寂の響き」が9月14日に開幕する。

 西川勝人は、自然との融合を意識したプロジェクトや、彫刻、平面から家具まで、異なる造形分野を横断しながら制作するアーティスト。シンプルな構造と簡素な素材を用い、光と闇、そのあいだに広がる陰影について示唆に富んだ作品を生み出し続けている。

 本展は、1980年代より現在まで、一定して静けさという特質を保持し続ける西川作品の美学に触れる日本初の回顧展となる。彫刻、写真、絵画、ドローイング、インスタレーション、建築的構造物の約70点が、作家自身の構成によって展示される。

会期:2024年9月14日~2025年1月26日
会場:DIC川村記念美術館
住所:千葉県佐倉市坂戸631
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:09:30~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし、祝日の場合は翌平日)、12月24日〜1月1日
料金:一般 1800円 / 学生・65歳以上 1600円 / 高校生以下 無料

「空の発見」(渋谷区立松濤美術館

展示風景より

 日本の美術史において「空」の表現の変遷を探る展覧会「空の発見」が渋谷区立松濤美術館で開催される。

 日本の美術のなかでは、近世になるまで「空」を現実的に描こうとする意識は希薄だった。近世になると、西洋絵画などの影響をうけ、洋風画や泥絵、浮世絵などに青空が広がり、明治以降では、本格的な西洋画教育や、科学的な気象観測の導入をうけ、刻々と変化する雲や陽光を写しとろうとする画家たちが登場する。

 ところが次世代には、表現主義やシュールレアリスムなどの新潮流の影響のなか、自らの心象をこの空間に托すように多様で個性的な「空」を描く画家たちが続くといえる。そして現代では、かつて従属的であった「空」を中心に据えることで、表現に活路を見出すアーティストたちも現れる。

 本展では、こうした「空」の表現の変遷を通じて、そこに映し込まれる人々の意識の揺らぎを浮かび上がらせようとするもの。

会期:[前期]2024年9月14日~10月14日、[後期]2024年10月16日~11月10日
会場:渋谷区立松濤美術館
住所:東京都渋谷区松濤2-14-14
電話番号:03-3465-9421
開館時間:10:00~18:00(金~20:00)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし、9月16日、9月23日、10月14日、11月4日は開館)、9月17日、9月24日、10月15日、11月5日
料金:一般 1000円 / 大学生 800円 / 高校生、60歳以上 500円 / 小学・中学生 100円

「建物公開2024 あかり、ともるとき」(東京都庭園美術館

メインヴィジュアル

 東京・目黒の東京都庭園美術館で、毎年恒例となっている、旧朝香宮邸(現・東京都庭園美術館本館)の建築の魅力に迫る建物公開展が9月14日から開催される。

 旧朝香宮邸は、1920年代にフランス・パリに滞在していた朝香宮夫妻が触れた、当時全盛期だったアール・デコの様式美がふんだんに取り入れられている。フランスの装飾美術家アンリ・ラパンが主要な部屋の室内装飾を手がけ、宮内省内匠寮の技師らが全体の設計を担い、日仏のデザインが融合する形で完成した建築となっている。

 今回は、この建物のみどころのひとつと言える「照明」に焦点を当てる。各室の照明に関する解説、資料を通して旧朝香宮邸の魅力に迫るとともに、同時代のランプ類を展示する。また、本館の窓のカーテンを開け放ち、自然の光を感じる空間で、宮邸時代の家具や調度を用いた再現展示を楽しむことができる。

会期:2024年9月14日~11月10日
会場:東京都庭園美術館
住所:東京都港区白金台5-21-9
電話番号:03-3443-0201 
開館時間:10:00〜18:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(9月16日、23日、10月14日、11月4日は開館)9月17日、24日、10月15日、11月5日
料金:一般 1000円 / 大学生 800円 / 高校・中学生 500円

「塩田千春 つながる私(アイ)」(大阪中之島美術館 5階展示室

塩田千春 The Eye of the Storm 2022
画像提供=バンコクアートビエンナーレ ©JASPAR, Tokyo, 2024 and Chiharu Shiota

 現在ベルリンを拠点として国際的に活躍する塩田千春。その大規模個展「塩田千春 つながる私(アイ)」が、9月14日より大阪中之島美術館で開催される。

 「生と死」という人間の根源的な問題に向き合い、作品を通じて「生きることとは何か」「存在とは何か」を問い続けてきた塩田。出身地・大阪での大規模個展は今回がじつに16年ぶりとなり、巡回がないのが特徴だ。

 本展では、全世界的な感染症の蔓延を経験した私たちが、否応なしに意識した他者との「つながり」に、3つの【アイ】-「私/I」、「目/EYE」、「愛/ai」を通じてアプローチしようというもの。新作や国内未発表作品を含む、大規模なインスタレーション作品がその中心となる。約1700平米、天井高6メートルの会場を舞台に、6点のインスタレーション作品が発表される予定だ。

会期:2024年9月14日〜12月1日
会場:大阪中之島美術館 5階展示室
住所:大阪市北区中之島4-3-1
電話番号:06-4301-7285(大阪市総合コールセンター) 
開場時間:10:00~17:00 ※入場は16:30まで 
休館日:月(9月16日、23日、10月14日、11月4日は開館)、9月17日、24日、10月15日、11月5日
料金:一般 2000円(平日は1800円) / 高校・大学生 1500円 / 中学生以下無料

「レクイエム 猫と肖像と一人の画家」(横尾忠則現代美術館

 兵庫県神戸市の横尾忠則現代美術館で、「レクイエム 猫と肖像と一人の画家」展が9月14日にスタートする。

 今年で88歳を迎えた横尾忠則は、創作を通じて多くの人々と関わってきた。憧れの文学者や俳優、ともに前衛的な活動に携わった演劇人や同業者、コラボレーションで高めあう異業種の友人たちなど、ジャンルを横断した交流の足跡は、作品として歴史に刻まれている。

 本展は、これまでに横尾が見送ってきた親しい人々と愛猫に想いを馳せるもの。タイトルが示すように、会場は「猫」と「肖像」、そして「一人の画家=横尾忠則」の言葉で構成される。

会期:2024年9月14日〜12月15日
会場:横尾忠則現代美術館
住所:兵庫県神戸市灘区原田通3-8-30
電話番号:078-855-5607
開場時間:10:00〜18:00 ※入場は17:30まで 
休館日:月(ただし祝休日の場合は開館し、翌平日休館)
料金:一般 700円 / 大学生 550円 / 70歳以上 350円 / 高校生以下無料

「森靖展 -Gigantization Manifesto-」(碌山美術館

3MMM – Melt & messy 285 × 180 × 180 cm 個人蔵

 碌山美術館で、「森靖展 -Gigantization Manifesto-」が9月14日に始まる。

 森靖(1983〜)は、木彫をおもに表現領域とする現代彫刻。歌うエルビス・プレスリーが両性具有化した4メートルに迫る代表作《Jamboree-E. P.》(2014、本展未出品)で知られるように、森は見る者を圧倒する巨大な作品制作を特徴としている。その森は本年、運慶の没800年を機に像(イメージ)のスケール感への問題意識を先鋭化し「巨大化宣言」として今後もますます巨大な作品を制作することを宣言。

 本展は、学生時代の作品からこれまでの代表作、近作を通して、その造形思考をたどりながら、森芸術の世界を体感する展覧会となっている。ポップアイコンの解体やグロテスクの文脈で解釈されるマリリン・モンローを河童と掛けあわせた「キマイラ」《Much ado about love-Kappa》(2009)や、わずか4センチの「自由の女神」《On the hand-The statue of liberty》(2021)のほか、トルソや未完成あるいは断片という文脈で解釈される作品も展示する。

会期:2024年9月14日~12月8日
会場:碌山美術館
住所:長野県安曇野市穂高5095-1
電話:0263-82-2094
開館時間:11~12月:9:00〜16:10 9~10月:9:00〜17:10 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:11月5日、11月11日、11月18日、11月25日、12月2日
料金:一般 900円 / 高校生 300円 / 小中生 150円