2025.5.15

佐藤雅彦の展覧会が横浜美術館で開催。創作の軌跡をたどる初の大規模個展

横浜美術館で、リニューアルオープン記念展として佐藤雅彦の展覧会「佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)」が開催される。会期は6月28日〜11月3日。

佐藤雅彦 計算の庭(桐山孝司との共作) 「六本木クロッシング2007」(森美術館)展示風景
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 横浜美術館のリニューアルオープンを記念する展覧会として、佐藤雅彦の展覧会「佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)」が開催される。会期は6月28日〜11月3日。

佐藤雅彦 撮影=STUDIO DUNK

 佐藤は1954年静岡県生まれ。東京大学教育学部卒業後、77年電通に入社し、CMプランナーとして活動。サントリー「モルツ」、湖池屋「スコーン」「ポリンキー」「ドンタコス」、NEC「バザールでござーる」などのヒットCMを生み出した。94年に独立し、企画事務所「TOPICS」を設立。97年に中村至男と協同デザインしたプレイステーション・ソフト『I.Q』が全世界で130万枚のセールスを記録する。

上から、ポリンキーの秘密(湖池屋)、バザールでござーる(NEC) ともにアドミュージアム東京所蔵

 99年から2005年まで慶應義塾大学環境情報学部教授を務め、同大学佐藤雅彦研究室の活動として、NHK教育テレビの幼児教育番組『ピタゴラスイッチ』を監修、いまも携わる。06年より、東京藝術大学大学院映像研究科教授。主な著書に『毎月新聞』(中央公論新社、2009)、『差分』(美術出版社、2009)、『考えの整頓』(暮しの手帖社、2011)、『新しい分かり方』(中央公論新社、2017)など。13年に紫綬褒章を受章した。

左から、だんご3兄弟(NHK「おかあさんといっしょ」 より)、フレーミーとぼてじん(ともにNHK「ピタゴラスイッチ」より) 画像提供=横浜美術館

 本展は、佐藤の創作活動の軌跡をたどる世界初の大規模個展。佐藤が表現者/教育者として世に送り出してきたコンテンツを一堂に紹介し、40年にわたる創作活動を概観する。

イデアの工場(DNP)

 佐藤の創作の根幹には、「つくり方」「わかり方」についての独自の理論やアイデアが蓄積されている。会場では佐藤の多様な作品の創作プロセスを紹介し、その独創的なコミュニケーションデザインの考え方や理論を紐解いていく。

ピタゴラ装置(NHK「ピタゴラスイッチ」より) 画像提供=横浜美術館

 佐藤が「つくり方が新しければ、自ずとできたものは新しい」と語るように、あらゆる物事に時間をかけて対峙し、自分なりの考え方を整理整頓すること、そこから表現を生み出すことの大切さやおもしろさを、展覧会を通して伝えるものが目指される。

佐藤雅彦 ballet rotoscope