2025.8.8

3連休に見たい展覧会ベスト8。ホセ・パルラ、ミヒャエル・ボレマンスから石田尚志、小沢剛まで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

ホセ・パルラ「Home Away from Home」展の展示風景より 画像提供=KOTARO NUKAGA
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もうすぐ閉幕

「Home Away from Home」(KOTARO NUKAGA 六本木

展示風景より 画像提供=KOTARO NUKAGA

 KOTARO NUKAGA 六本木で、ホセ・パルラの個展「Home Away from Home」が8月9日まで開催されている。

 本展は、KOTARO NUKAGA 六本木とポーラ ミュージアム アネックス(6月20日〜7月27日)の2会場で同時開催。レポート記事はこちら。「日本」を共通のテーマに、ひとつに限定される「ホーム」ではなく、記憶、移動、人とのつながりによって形成され、つねに変化し続ける風景という視点からパルラの作品を紹介する。

 KOTARO NUKAGA 六本木では、日本で過ごした時間や出会いから着想を得た新作絵画を発表。日本の都市の様々な顔に遭遇し、友人やアーティストとの交流をかさねてきたパルラにとって、本展のためにつくられた新作は「友人たちへのオマージュであり、芸術の旅を豊かにしてくれた瞬間」であると語っている。

会期:2025年6月20日〜8月9日
会場:KOTARO NUKAGA ROPPONGI
住所:東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル2階
開館時間:11:00〜18:00
料金:無料

松田将英個展「『Great Reset』ーポスト太陽フレア時代における再起動プロトコルー」(マイナビアートスクエア)

展示風景より

 マイナビアートスクエアで、松田将英による新作展示「『Great Reset』ーポスト太陽フレア時代における再起動プロトコルー」が8月9日まで行われている。レポート記事はこちら

 本展では、アーティスト・松田将英を迎え、太陽フレアによってあらゆる電子機器のシグナルが途絶えた世界線を描く。コロナ禍における「ソーシャルディスタンス」のように、フレア禍から生まれた「オフラインモード」という新たな社会のかたちを通して、ウェルビーイングの可能性に光をあてる。

 陰謀論を含むタイトルの複層的な意味を、批評性とユーモアでアートの地平に引き寄せる本展は、鑑賞者の一人ひとりが自己理解や世界との関係、他者との共感や違和感に気づくための装置となっている。

会期:2025年6月11日〜8月9日
会場:マイナビアートスクエア
住所:東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座タワー22F
開館時間:11:00〜18:00
料金:無料

「ミヒャエル・ボレマンス 青柳龍太 五十嵐大地 橋本晶子|無音 silence」(ギャラリー小柳

ミヒャエル・ボレマンス Taking Turns 2009-13

 ベルギーの芸術家ミヒャエル・ボレマンスの映像作品《Taking Turns》と、静けさを生み出す作家、青柳龍太五十嵐大地、橋本晶子の3名の新作を紹介する展覧会「無音 silence」が、8月9日までギャラリー小柳で開催されている。

 ボレマンスの映像作品《Taking Turns》は、下肢がない少女が描かれた一連の絵画作品《Automat》から派生したもので、2014年にギャラリー小柳で開催した個展以来、日本では11年ぶりの公開となる。

 青柳龍太は、自らの感性で見つけ出し、収集したモノを正方形の限られた空間に精緻に配置するインスタレーション作品を発表する。また、五十嵐大地は、食器や動物の骨などをモチーフに、不可逆な時間の経過やそれが織りなす事物の変化をとらえた静物画を展示。橋本晶子は「離れた場所に、いまここで触れる」というテーマにもとづき、絵画に描かれた場所と観者がいる場所を結びつけ、鑑賞者がふたつの世界を行き来する作品を紹介する。

会期:2025年6月28日~8月9日
会場:ギャラリー小柳
住所:東京都中央区銀座1-7-5 小柳ビル9階
電話番号:03-3561-1896
開廊時間:12:00~19:00
料金:無料

「みること、つくること、つながること 『Museum Start あいうえの』12年と現在地」(東京都美術館

 東京都美術館で「アート・コミュニケーション事業を体験する 2025 みること、つくること、つながること『Museum Start あいうえの』12年と現在地」展が8月10日に終了する。

 同館は2012年度のリニューアルを機にアート・コミュニケーション事業をスタート。一般公募のアート・コミュニケータをはじめとする様々な人々とともに、障害の有無や年齢に関わらず、すべての人に開かれた「アートへの入口」となることを目指し、10年以上にわたって様々な活動を行ってきた。23年度より本事業を振り返り、より広く発信するため「アート・コミュニケーション事業を体験する」を展覧会形式で開催している。

 3年目となる本年は、ミュージアムで創発される協働的な学びに注目し、多様な人々が作品との対話を介してつながりを育む営み、文化への関心から始まる社会参加について考えていく。本展では、他者や文化財との関わりを大切に、制作を続ける3組の作家を紹介。また上野公園の文化施設が連携し、2013年より12年にわたって展開している「Museum Start あいうえの」のアーカイヴ展示や、記録映像の上映、子供も大人も楽しめる参加型のワークショップなどを実施する。

会期:2025年7月31日~8月10日
会場:東京都美術館
住所:東京都台東区上野公園8-36
電話:03-3823-6921
開館時間:9:30~17:30 ※入室は閉室30分前まで
観覧料:無料

今週開幕

「石田尚志 絵と窓の間」(高松市美術館

石田尚志 絵と窓の間 2018 © Ishida Takashi

 高松市美術館では、映像と絵画を横断する表現で注目されるアーティスト・石田尚志の大規模個展「石田尚志 絵と窓の間」が8月8日に開幕する。

 1972年生まれの石田は、自ら描いた絵を少しずつ変化させながら連続撮影する「ドローイング・アニメーション」により、90年代から国内外で高い評価を得てきた。映像に映し出されるのは、生成し続ける絵画、時間の痕跡、そして画家の思考の軌跡でもある。

 本展では、10代の油彩から最新のキャンバス作品まで、約80点を紹介。2019年の《弧上の光》や、石田作品の原点といえる40メートル超の初期絵巻《絵馬》(1990)も初公開される。また、映像と立体による代表的インスタレーションや、神奈川県立近代美術館 葉山で公開制作された新作映像も展示される。

会期:2025年8月8日~10月5日
会場:高松市美術館
住所:香川県高松市紺屋町10-4
電話番号:087-823-1711
開館時間:09:30~17:00(金・土〜19:00、8月1日〜8月31日の金・土〜20:00)※入室は閉館30分前まで
休館日:月、8月12日、9月16日(ただし、8月11日、9月15日は開館)
料金:一般 1200円 / 大学生 600円 / 高校生以下 無料

金川晋吾写真展「祈り/長崎」(浦上キリシタン資料館ほか)

 長崎市内の3会場で、写真家・金川晋吾による展覧会「祈り/長崎」が8月9日より開催される。

 本展は、2024年に刊行され第49回木村伊兵衛写真賞にノミネートされた写真集『祈り/長崎』をもとに構成されるもので、原爆投下から80年を迎える節目のタイミングでの開催となる。会場は、浦上キリシタン資料館、ひとやすみ書店、PEACETOWN COFFEEの3ヶ所。会期は9月27日まで。

 1981年生まれの金川は、父親や伯母といった家族との関係を軸に、制度では括れない人間の存在や記憶をとらえてきた作家。本作では、長崎の平和祈念像やカトリック信徒の祭壇、各所に佇むマリア像やキリスト像といった、信仰と都市の風景が静かに映し出されている。洗礼を受けた金川自身のポートレイトも含まれ、自身の信仰との向き合いも投影されたものとなる。

会期:2025年8月9日〜9月27日
会場:浦上キリシタン資料館、ひとやすみ書店、PEACETOWN COFFEE
住所:浦上キリシタン資料館(長崎県長崎市平和町11-19 グロリアヒルズ1階)、ひとやすみ書店(長崎県長崎市諏訪町5-3)、PEACETOWN COFFEE(長崎県長崎市平和町2-1)
開館時間:浦上キリシタン資料館 10:00〜17:00 / ひとやすみ書店 12:00〜18:00(土〜16:00) / PEACETOWN COFFEE 11:00〜18:30
休館日:浦上キリシタン資料館 月(祝日の場合は翌平日) / ひとやすみ書店 木 / PEACETOWN COFFEE 火水
料金:無料

「江戸の人気絵師 夢の競演 宗達から写楽、広重まで」(山種美術館

 山種美術館では、江戸時代の人気絵師たちが一堂に会する展覧会「江戸の人気絵師 夢の競演 宗達から写楽、広重まで」が8月9日より開催される。

 本展では、俵屋宗達伊藤若冲池大雅岩佐又兵衛といった江戸絵画の巨匠に加え、鈴木春信、東洲斎写楽、葛飾北斎歌川広重など、浮世絵界を彩った“スター絵師”たちの名品が集結。館蔵の優品を中心に、前・後期あわせて全点を公開する。

 写楽の大首絵や、北斎《冨嶽三十六景 凱風快晴》(後期展示)、広重の《東海道五拾三次》など、見どころ満載の浮世絵コレクションに加え、太田記念美術館の所蔵品からは国芳や芳藤による戯画、夏や秋の風物詩を描いた“楽しい浮世絵”も特別出品される。江戸の人気絵師たちによる夢の共演を、浮世絵と絵画の両面から楽しめる絶好の機会となるだろう。

会期:2025年8月9日~9月28日
会場:山種美術館
住所:東京都渋谷区広尾3-12-36
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月、9月16日(8月11日、9月15日は開館)
料金:一般 1400円 / 夏の学割 大学生・高校生 500円 / 中学生以下 無料(添付者の同伴が必要)

「小沢剛の讃岐七不思議」(香川県立ミュージアム

 香川県立ミュージアムにて、現代アーティスト・小沢剛の四国初となる大規模個展「小沢剛の讃岐七不思議」が8月9日から開催される。

 歴史や社会を独自のユーモアと批評精神で読み解く作品で知られる小沢は、讃岐醤油画資料館(坂出)やヴァレーギャラリー「スラグブッダ88」(直島)など、香川とも深い縁を持つ。本展では、香川県立ミュージアムが収蔵する歴史・美術・民俗に関する資料から着想を得て、インスタレーションや写真、焼き物、絵画など多彩な新作群を展開。城東保育園(高松市)やとらまるパペットランド(東かがわ市)の協力によるコラボ作品も登場する。

 タイトルの「七不思議」は、2008年の金沢以来17年ぶりとなるシリーズ。奇怪さではなく、「見るべき、知っておくべきモノ・コト」に焦点を当て、純粋芸術と日常の境界を問い直す。文化財「衆鱗図」や「一角印籠」、初公開となる縛り人形「直指公御流儀秘事縄雛形」なども展示され、歴史資料と現代美術が交差する、香川の魅力を再発見できる貴重な機会となるだろう。

会期:2025年8月9日~10月13日
会場:香川県立ミュージアム
住所:香川県高松市玉藻町5-5
電話番号:087-822-0247
開館時間:09:00~17:00(ただし、8月と10月の土、8月10日、11日、10月12日、13日は〜20:00)※入館は閉館30分前まで
休館日:月、8月12日、9月16日(ただし、8月11日、9月15日、10月13日は開館)
料金:一般 1200円 / 高校生以下、県内在住の65歳以上、障害者手帳・特定医療費(指定難病)受給者証・小児慢性特定疾病医療費受給者証等の提示者とその介護者 無料