KYOTOGRAPHIE 2026のテーマは「EDGE」。世界8ヶ国から13組が参加
春の京都の風物詩として定着した「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」が、2026年4月18日〜5月17日に第14回を迎える。今年の見どころとは?

日本を代表する写真祭として定着した「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」が、2026年4月18日〜5月17日に第14回を迎える。今回のテーマは「EDGE(エッジ)」。境界、分断、接触、移ろい、葛藤、未知へ踏み出す瞬間など、多義的な“縁”をめぐる動的な思考を促すキーワードだ。
今回は、日本、南アフリカ、フランス、バングラデシュ、ボリビアなど、8ヶ国13組のアーティストによるプログラムを展開。京都市内の歴史的建造物や文化拠点が会場となり、街そのものが写真祭として立ち上がる構成は健在だ。多様な思想と美学が交錯する“エッジ”の現場が、春の京都に広がることとなるだろう。次のページからは、参加作家を紹介する。
「森山大道 – A RETROSPECTIVE」(京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階)


戦後日本写真史を象徴する森山大道の大規模回顧展。キュレーションはモレイラ・サレス研究所のチアゴ・ノゲイラが担う。本展では、無数の雑誌や出版物にフォーカスしつつ、森山の代表作が多く生まれたフォトエッセイや『プロヴォーク』への寄稿、写真集『写真よさようなら』(1972)なども紹介される。
リンダー・スターリング(京都文化博物館 別館)


リンダー・スターリングは1954年生まれ。70年代イギリスのパンクシーンで頭角を現したアーティストだ。フェミニズム的観点と鋭い時代批評を孕むコラージュ作品で知られる。本展が日本における初個展であり、その創作をたどりながら、主要作品が展示される。
ジュリエット・アニエル Presented by Van Cleef & Arpels
風景と光に向けた詩的で形而上学的なアプローチで知られるアーティスト。植物や鉱物がもつ“スピリット”をすくい上げるようなアニエルの写真。本展では、Van Cleef & Arpelsとのコラボレーションで制作されたカラーシリーズ「Dahomey Spirit」と「Susceptibility of Rocks」を展示予定だ。
タンディウェ・ムリウ(出町枡形商店街(レジデンス作品)/誉田屋源兵衛(CAMOシリーズ)


アイデンティティやカルチャー、女性のエンパワーメントなどをテーマに作品を制作するケニアのフォトグラファー タンディウェ・ムリウ。代表作である、鮮烈なパターンと衣服・背景の同調が生む「CAMO」シリーズと、滞在制作による新作を併せて紹介する。
柴田早理(ASPHODEL)


KYOTOGRAPHIE 2025でルイナール・ジャパン・アワードを受賞した柴田の個展。本展では、フランス・ランスでのレジデンス制作をもとに、自然と人間の営みの関係性を追うシリーズを発表する。
イヴ・マルシャン&ロマ・メェッフェル


イヴ・マルシャン&ロマ・メェッフェルは、20年以上にわたり活動するフランスの写真家デュオ。近代建築の廃墟を大判カメラで撮影するシリーズで知られる。本展でもその代表作を展示するほか、AIを使い京都を廃墟へと変貌させる新たな作品を制作し、現実と虚構の境界のあわいを問いかける。
福島あつし(ygion)

弁当配達員として勤務しながら制作した「ぼくは独り暮らしの老人に弁当を運ぶ」でKG+SELECT Awardグランプリ(2019)を受賞した福島あつし。福島は18年から農業に携わっており、本展では農業における夏の厳しさにフォーカスしたシリーズを発表する。
ファトマ・ハッスーナ(八竹庵)


パレスチナの写真家であり、ガザの市民生活を記録し、国際的に高い評価を受けるも、25年4月16日のイスラエルにより空爆で家族10人とともに命を落としたファトマ・ハッスーナ。KYOTOGRAPHIEでは、ハッスーナの遺した貴重な写真を紹介し、その活動に敬意を捧げる。
フェデリコ・エストル「SHINE HEROES」(嶋臺ギャラリー)


ウルグアイ出身のアーティスト兼アクティビストであるフェデリコ・エストル。本展では、ボリビア・ラパスで社会の周縁に追いやられる靴磨きに従事する人々とともに作品を制作し、そのアイデンティティを再考する。会場には、ラパスで靴磨きの人々が実際に使用してきた道具も展示される。
アントン・コービン(嶋臺ギャラリー)

多数のミュージシャンのポートレイトで知られるオランダの写真家アントン・コービン。今回の展示は選集的回顧展となり、半世紀にわたるそのキャリアを象徴する静謐なモノクロ作品群が並ぶ。
アーネスト・コール「HOUSE OF BONDAGE」(京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階)

アーネスト・コール(1940〜1990)は、アパルトヘイト時代の南アフリカを記録した伝説的な写真家。本展では、差別政策のもとで生きる市民の姿を克明にとらえた最初期の写真集『House of Bondage』を中心に紹介する、日本で初めての機会となる。
ピーター・ヒューゴ「WHAT THE LIGHT FALLS ON」(京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階)

ケープタウンを拠点に活動するピーター・ヒューゴ。本展では、「根源的な彷徨衝動」と名付けたものに導かれながら撮影された「What the Light Falls On」シリーズを展示する。
レボハン・ハンイェ

南アフリカを拠点に、写真や歴史、リサーチや演劇性、詩的表現などを重ね合わせ、ときには彫刻的なインスタレーションを生み出すレボハン・ハンイェ。DIORがサポートする本展は、日本における初の大規模個展。個人史と歴史的な物語の形成、断片化、そして再構築を探る5つの作品群が展示される。
A4 Arts Foundation(South Africa in Focus)

今回は、南アフリカの現代写真を牽引するA4 Arts Foundationのキュレーターでるショーン・オトゥールがキュレーションし、写真集というメディアで1945年から現在までの南アフリカの歴史を描き出すプログラムも展開される。





















