2026.3.20

三連休に見たい展覧会ベスト8。日本と韓国の現代美術からリナ・バネルジー、ルネ・ラリックまで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

エスパス ルイ・ヴィトン東京での展示風景(2026) Photo by Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton
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もうすぐ閉幕

「美しいユートピア 理想の地を夢みた近代日本の群像」(パナソニック汐留美術館

展示風景より、中央は《模型 ヒアシンスハウス》(建築=立原道造、模型=文化学園大学種田ゼミ、2025)

  パナソニック汐留美術館で「美しいユートピア 理想の地を夢みた近代日本の群像」が3月22日まで開催されている。レポート記事はこちら

 本展では、16世紀イギリスの思想家トマス・モアによる小説『ユートピア』を起点に、近代日本において理想の暮らしや社会を模索した人々の活動を紹介。ウィリアム・モリスの思想に触発され、暮らしと芸術の総合を志向した動きが、20世紀日本においてどのように展開したのかをたどる。

 展示は、白樺派や民藝運動を中心に近代における人間や社会の理想を求めた動向を扱う第1章に始まり、調査研究やフィールドワーク、建築家の活動を取り上げる第2章、芸術家コロニーの交流を紹介する第3章、地域で育まれた実践を追う第4章、戦後における新たな世界像の模索を扱う第5章で構成される。美術、工芸、建築といった分野を横断しながら、20世紀日本における「美しいユートピア」をめぐる試みを、作品資料約170点を通して紹介している。

会期:[前期]2026年1月15日~2月17日、[後期]2026年2月19日~3月22日
会場:パナソニック汐留美術館
住所:東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(2月6日、3月6日、3月20日、3月21日は〜20:00)※入館は各閉館時間の30分前まで
料金:一般 1200円 / 65歳以上 1100円 / 大学生・高校生 700円 / 中学生以下 無料

「たたかう仏像」(静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)

展示風景より、《十二神将立像 寅神像》(鎌倉時代、1228頃)

 静嘉堂@丸の内で「たたかう仏像」が3月22日に閉幕する。レポート記事はこちら

 本展では、重要文化財《十二神将像》(浄瑠璃寺旧蔵)を中心に、彫刻や絵画に表された神将像・明王像など、「たたかう仏像」の多様な姿を紹介。甲冑を身にまとった神将像、火炎を背負った不動明王像など、怒りの表情を見せる仏像に注目し、それらが外敵や災厄から人々を守る存在として信仰されてきたことを示す。

 これらの像は、守護的役割だけでなく、衆生に近い存在として救済を担い、個人の内面における煩悩と向き合う存在としても信仰されてきた。本展では、その多様な造形が人々の現世的な願いに応じて成立してきたことを紹介。あわせて、中国・唐代の副葬品である神将俑も17年ぶりに展示している。墓室の入口に設置された神将俑を、日本の神将像とともに展示し、神将像の起源や役割に注目。俑と仏像を同一空間に展示することで、彫刻史的枠組みとは異なる視点からの比較を提示する。

会期:2026年1月2日~3月22日
会場:静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)
住所:東京都千代田区丸の内2-1−1 明治生命館1階
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:10:00~17:00(1月28日、2月25日は〜20:00)(3月20日、3月21日は〜19:00) ※入館は閉館の30分前まで
料金:一般 1500円 / 大高生 1000円 / 中学生以下 無料

「いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年」(横浜美術館

展示風景より

 横浜美術館で「横浜美術館リニューアルオープン記念展 いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年」が3月22日まで開催されている。レポート記事はこちら

 ドラマや映画、音楽、ファッション、メイクなど、世界的に注目を集める韓国のカルチャーの隆盛によって、韓国文化は日本においても身近で欠かせない存在となっている。本展では、そうした文化的交流の背景を踏まえ、1945年以降の両国のアート作品を通して互いの姿や関係性を新たに発見することを目的とする。

 本展は、1965年の日韓国交正常化から60年の節目を記念し、韓国の国立現代美術館との共同企画により実現したものである。また、横浜美術館のリニューアルオープン記念展「おかえり、ヨコハマ」「佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)」に続く展覧会として、「多文化共生」と「多様性尊重」という同館の理念を体現する企画となる。

会期:2025年12月6日~2026年3月22日
会場:横浜美術館
住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい 3-4-1
電話番号:045-221-0300
開館時間:10:00~18:00 ※入館は閉館30分前まで
料金:一般 2000円 / 大学生 1600円 / 中学・高校生 1000円 / 小学生以下、障がい者手帳をお持ちの方と介護者1名 無料

「開館40周年記念 路傍小芸術」(新潟市美術館

展示風景より、「松田ペット」の手描き看板

 新潟市美術館で「開館40周年記念 路傍小芸術」が3月22日に終了する。レポート記事はこちら

 本展は、長らく街の片隅にあり、多くの人々に見つめられてきた無名の人々による造形作品を紹介するもの。小中学校などのセメント彫刻、銭湯の壁画、新潟地震を描いた児童画などを展示。新潟市美術館の自主企画展として開催される。

 本展で展示されてるのは、人々の傍らにいつも佇んでいる「路傍」的存在であり、生活に密着した「小芸術」である。今回、美術館のホワイトキューブに「路傍」が持ち込まれたことで、これまで口述のなかにしかなかった存在が、交換・流通可能な言語として立ち上がった。本展のもっとも重要な点はそこにあるといえるだろう。

会期:2026年1月24日~3月22日
会場:新潟市美術館
住所:新潟県新潟市中央区西大畑町5191-9
電話番号:025-223-1622 
開館時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
料金:一般 800円 / 高・大学生 600円 / 小・中学生 無料

「向井山朋子 Act of Fire」(アーツ前橋

展示風景より、《KOKOKARA》(2025)

 アーツ前橋で「向井山朋子 Act of Fire」が3月22日まで開催されている。レポート記事はこちら

 向井山朋子は1963年和歌山県新宮市生まれ、アムステルダム在住。音楽、映像、パフォーマンス、インスタレーションなど多領域を越境する表現者として活動してきた。

 本展は、向井山にとって美術館で初の大規模個展であり、アーツ前橋の6つのギャラリーを地下劇場に見立てた回廊型インスタレーションとなっている。シルクドレスの迷宮《wasted》(2009)、3.11の津波で破壊されたグランドピアノを用いた《nocturne》(2011)、映像詩《ここから》(2025)など、新旧の作品群を展示している。

 タイトル「Act of Fire」は、向井山の身体と記憶に根ざす喪失・抵抗・怒りに関わる表現と、ジェンダー不平等、自然災害、侵略などの現実世界の問題を「火」というメディアによって示す行為を指す。家族の肖像、火祭り、経血、津波の泥、燃え尽きるピアノなどのイメージを提示する。

会期:2026年1月24日~3月22日
会場:アーツ前橋
住所:群馬県前橋市千代田町5-1-16 アーツ前橋
電話番号:027-230-1144
開館時間:10:00~18:00  ※入場は閉館30分前まで
料金:一般 1000円 / 学生・65歳以上 800円 / 高校生以下、障害者手帳等をお持ちの方と付添の方1名 無料

今週開幕

「下村観山展」(東京国立近代美術館

展示風景より、下村観山《弱法師(よろぼし)》(1915)

 東京・竹橋にある東京国立近代美術館で「下村観山展」が始まっている。レポート記事はこちら

 日本画家・下村観山(1873〜1930)は、紀伊徳川家に代々仕える能楽師の家に生まれた。幼いときより画の才能を発揮し、橋本雅邦に学んだのちに東京美術学校(現・東京藝術大学)に第1期生として入学。卒業後は同校で教鞭を執るも、校長の岡倉天心とともに同校を辞職し日本美術院の設立に参加する。岡倉の指導や、1903年からの2年間のイギリス留学・欧州巡遊などから技術力を磨き、横山大観、菱田春草らと新しい日本美術の道を拓いた。

 本展は、関東圏では13年ぶりとなる大規模な観山の回顧展となる。観山作品のなかで唯一重要文化財に認定されている《弱法師》を含む、全150点を超える作品から観山の画業をたどる内容となる。超絶技巧で知られる観山だが、そのモチーフや和洋折衷の不思議な表現方法も特徴のひとつとなっており、改めて作品制作の背景を紐解き、観山芸術の意義を再検証する点も本展の見どころとなっている。

会期:[前期]2026年3月17日~4月12日、[後期]4月14日〜5月10日
会場:東京国立近代美術館
住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル 9:00~20:00) 
開館時間:10:00~17:00(金土~20:00) ※入館は閉館30分前まで 
休館日:月(ただし3月30日、5月4日は開館) 
料金:一般 2000円 / 大学生 1200円 / 高校生 700円 / 中学生以下、障害者手帳をお持ちの方とその付添者1名 無料

リナ・バネルジー「You made me leave home…」(エスパス ルイ・ヴィトン東京

エスパス ルイ・ヴィトン東京での展示風景(2026) Photo by Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton

 エスパス ルイ・ヴィトン東京で、南アジア系ディアスポラのアーティスト、リナ・バネルジーによる個展「”You made me leave home…」が開催されている。レポート記事はこちら

 リナ・バネルジーは1963年インド・コルカタ生まれ。現在はニューヨークを拠点に活動している。多文化性や移民性、ジェンダー、帝国主義といったテーマを鮮やかで複雑な視覚言語で表現してきた。また、理系のバックグラウンドを活かし、90年代後半より一貫して「境界をまたぐ身体と物語」に焦点を当ててきた。

 30年近くに及ぶ創作活動を通じて、現代社会において重要なテーマを探求し続けてきたバネルジー。今回の展示では、地球規模の移動と植民地主義の遺産というテーマのもと、インスタレーションから彫刻、絵画に至るまで、作家自身が厳選した19点の作品が紹介されている。

会期:2026年3月19日〜9月13日
会場:エスパス ルイ·ヴィトン東京
住所:東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ·ヴィトン表参道ビル 7F
電話番号:0120-00-1854
開館時間:12:00〜20:00
休館日:ルイ·ヴィトン 表参道店に準ずる
料金:無料

「ルネ・ラリック展 -ガレ、ドームから続く華麗なるフランスの装飾美術-」(国立工芸館

 国立工芸館では、3月20日から「ルネ・ラリック展―ガレ、ドームから続く華麗なるフランスの装飾美術―」が開催される。

 ラリックはジュエリーとガラスの両分野で革新をもたらした作家であり、アール・ヌーヴォーからアール・デコへと移行する時代の美意識を体現した存在として知られる。本展は、ラリックに焦点を当て、その作品を中心に約120点を通してフランス装飾美術の展開を紹介するものだ。国立工芸館に寄託された井内コレクションを軸に、ラリックの代表的なジュエリーや花瓶、香水瓶などを展示。さらに、エミール・ガレやドーム兄弟といった同時代の作家によるガラス作品、家具、ポスターなどもあわせて紹介し、当時の豊かな造形文化の広がりを示す。

 展示は、ガレとドームによる自然表現から始まり、ラリックのジュエリーからガラスへの展開、そしてアール・デコ期の造形へと至る構成で、時代の変遷とともに変化する装飾美術の様相を立体的にたどる。また、照明デザイナーによるライティングが施され、ガラスの透明感や光の反射によって生まれる繊細な表情を引き出す演出も見どころのひとつとなる。

会期:2026年3月19日〜9月13日
会場:国立工芸館
住所:石川県金沢市出羽町3-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:09:30~17:30(入館は閉館30分前まで)
休館日:月(ただし3月30日、4月6日、27日、5月4日は開館)、5月7日
料金:一般 1200円 / 大学生 800円 / 高校生 500円 / 中学生以下、障害者手帳をお持ちの方とその付添者1名 無料