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2026.1.10

「たたかう仏像」(静嘉堂@丸の内)開幕レポート。勇ましさのなかに見る祈りのかたち

東京・丸の内の静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)で「たたかう仏像」が開催されている。会期は3月22日まで。会場の様子をレポートする。

文・撮影=安原真広(ウェブ版「美術手帖」副編集長)

展示風景より、《十二神将立像 寅神像》(鎌倉時代、1228頃)
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 東京・丸の内の静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)で「たたかう仏像」が開催されている。会期は3月22日まで。会場の様子をレポートする。

 本展は重要文化財《十二神将像》(浄瑠璃寺旧蔵)を中心に、彫刻や絵画に表された神将像・明王像など、「たたかう仏像」の多様な姿を3章構成で紹介するものだ。

展示風景より、《十二神将立像》(鎌倉時代、13世紀)

 第1章(Ⅰ)「救済の最前線─たたかう仏像のさまざまな姿─」では、絵画に描かれた様々な仏像の姿を紹介する。

 とくに毘沙門天は、『法華経』で説かれた観音菩薩の33の化身のひとつで、観音の祈りに応じて現世に現れ、困難をその力をもって解決する独尊として広く信仰された。《妙法蓮華経変相図》(宋時代、11〜12世紀)は法華経に出てくる所尊が細やかに描かれている。このなかには2体の毘沙門天か描かれており、当時の中国で毘沙門天のアイコンとされた三面の冠を確認できる。

展示風景より、《妙法蓮華経変相図》(宋時代、11〜12世紀)

 第1章(Ⅱ)「救済の最前線─たたかう仏像のさまざまな姿─」では、描かれた本尊を取り巻く眷属や、冥府の正義を支える官僚たちに着目。千手観音の二十八部衆を描いた《千手観音二十八部衆像》(14世紀)は、穏やかな千手観音と対照的に、勇ましく武装した姿の二十八部衆が描かれている。

展示風景より、《千手観音二十八部衆像》(南北朝時代、14世紀)

 ほかにも本章では獅子に乗る文殊菩薩と于闐王と善財童子や、梵天、帝釈天、四天王、十王など、冥府の番人達の活躍する姿が生き生きと描かれた絵画が集まる。

展示風景より、左が《地蔵菩薩十王図》(高麗時代、14世紀)

 第2章「静嘉堂の仏像×俑」は、鎧を身につけた仏像・神将像と、中国の墓に納められていた武装する「俑」との歴史的な連続性を、同館の誇る俑のコレクションとともに見ていく。

展示風景より、《加彩鎮墓獣》(唐時代、7世紀後半〜8世紀)

 《加彩武人俑》(後漢〜西晋時代、2〜3世紀)の歯を食いしばり、腕を振り上げる姿や、唐時代の《加彩神将俑》(唐時代、7世紀後半)の左右の目をずらした迫力ある姿、幻獣の鎧をまとった《三彩神将俑》(唐時代、8世紀)の姿などからは、その後の「たたかう仏像」への影響が明確に見てとれる。これだけ多くの俑が並ぶ機会も珍しく、同館の持つコレクションの潤沢さを感じられるだろう。

展示風景より、《加彩武人俑》(後漢〜西晋時代、2〜3世紀)
展示風景より、《加彩神将俑》(唐時代、7世紀後半)

 最後となる第3章「十二神将像と十二支の世界」では、同感を代表する重要文化財、京都・浄瑠璃寺旧蔵の《十二神将立像》(鎌倉時代、1228頃)を紹介。

 薬師如来を信じる者を守護する十二神将は、同館に7体が、東京国立博物館に5体が分蔵されている。図像に依拠しながらも立体ならではの横顔の表現や細かな手指の仕草などの造形は目を見張るものがある。

展示風景より、《十二神将立像 寅神像》(鎌倉時代、1228頃)

 「たたかう」というキーワードで、仏像の新たな見方を提案しようとする本展。その躍動感ある表現とともに、宗教美術のおもしろさに改めて触れることができるはずだ。