小田原のどかと横浜国立大学がタッグ。「地域社会と芸術の関わり」を考えるためのラボを設立
小田原のどかが、地域社会と芸術の関わりを考えるための研究プラットフォームを横浜国立大学内に立ち上げた。

彫刻家・評論家・出版社代表・横浜国立大学教員と多岐にわたって活動する小田原のどかが、地域社会と芸術の関わりを考えるための研究プラットフォームを横浜国立大学内に立ち上げた。
昨今の国際的なアートの現場において「ソーシャリー・エンゲイジド・アート」の考え方が注目されている。これは、環境問題、経済格差、移民問題などの様々な問題に対し、アーティストがコミュニティや社会と直接的に関わり、人びととの対話や協働のプロセスを通じて状況の変化を促し、ひいては社会課題の解決を目指すものだ。日本においても、この考え方をテーマに据えた展覧会が開催されてきたほか、大学のような教育機関が主軸となり、研究者とアーティストが協働し、周辺地域と課題に取り組む事例も増えつつある。
横浜市は「横浜トリエンナーレ」の開催地であり、多くのアーティストたちがアトリエを構えるアートの現場でもある。同プラットフォームでは、「ソーシャリー・エンゲイジド・アート」の考えを批評的に再考しながら、美術史家、建築家、文化研究者、社会学者、アーティストらを主要メンバーとして、以下の内容に取り組むという。
アートと地域課題に取り組むためのプラットフォーム構築 横浜高等工業学校創立の地であり大学の学生寮が位置する弘明寺のアーティストとの協働を通じて、大学と周辺地域の関係をとらえなおす アーティストとの協働を通じ、課題を「外」だけに求めるのではなく、YNUミュージアムや学内の彫刻や森林など、大学内の文化資源のさらなる活用を目指す
「横浜国立大学地域連携推進機構」(*)該当ページより抜粋
具体的なアプローチはこうだ。レジデンスとギャラリーの機能を備え、弘明寺を拠点に昭和41年に創業した泰有社(たいゆうしゃ)とアーティストの渡辺篤が共同運営する「アートスタジオアイムヒア」やアーティスト・小泉明郎のスタジオなどがある弘明寺エリアでのイベントやシンポジウム、ワークショップを実施。アートと大学と地域連携の先行事例となることを試みるという。
なお、この取り組みには、代表の小田原のほか、平野恵子(ジェンダー・国際社会学研究者、横浜国立大学都市イノベーション研究院)、三浦倫平(社会学者、横浜国立大学都市イノベーション研究院)が、学外では小泉明郎(アーティスト)、渡辺篤(アーティスト、弘明寺「アートスタジオアイムヒア」主宰)、山本浩貴(文化研究者、実践女子大学文学部・准教授)、琴仙姫(アーティスト、法政大学社会学部・准教授)、庄ゆた夏(建築家、明治大学建築学科・教授)らが参画する。
*──「横浜国立大学地域連携推進機構」、https://www.chiiki.ynu.ac.jp/nexturbanlab/000545.html.