2025.6.18

最新の人型ロボット「アンドロイド・マリア」が誕生。11月に都内で本格デビューへ

音楽家・渋谷慶一郎が代表を務めるアタック・トーキョー株式会社(ATAK)が発表した、最新の人型ロボット「アンドロイド・マリア」。11月5日に都内コンサートホールにて本格的なデビューが決定した。

©︎ATAK
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 音楽家・渋谷慶一郎が代表を務めるアタック・トーキョー株式会社(ATAK)が、最新の人型ロボット「アンドロイド・マリア」を発表した。今年11月5日に都内コンサートホールにて本格的なデビューを果たす。

 渋谷慶一郎は、1973年東京生まれ。電子音楽作品からピアノソロ 、オペラ、映画音楽、サウンドインスタレーションまで作品は多岐にわたり、東京とパリを拠点に活動している。2012年に初音ミク主演による人間不在のボーカロイド・オペラ『THE END』を発表、2018年にはAIを搭載したアンドロイドとオーケストラによる作品、アンドロイド・オペラ『Scary Beauty』を発表している。その後も次々と作品を手がけ、テクノロジーや生と死の境界領域について問いかける作品を制作している。

 そんな渋谷が代表を務めるATAKは、渋谷の10年近く取り組んできた舞台芸術の成果をもとに、さらなる身体性と表現の進化、そして世界一美しいアンドロイドを目指して「アンドロイド・マリア」を開発。今年6月初旬にPRADA MODE OSAKAにて初公開した。

 「アンドロイド・マリア」は、これまでの空気圧駆動のアンドロイドとは異なり、50以上の関節すべてをモーター駆動化されており、より滑らかで有機的な動きが可能になった。造形は、古代から現代に至る多様な女神像や菩薩像をAIが学習し生成したコンセプトデザインをベースにしている。下半身は地下茎を思わせる無数のチューブで覆われており、大地との繋がりや生命、存在そのものを想起させることを意図されている。また内蔵カメラとマイクによって、常時人間の存在を認識し、対話やパフォーマンスも可能となっている。

©︎ATAK
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 AIによるコンセプトデザインと会話プログラムを手がけたアーティスト・岸裕真、近年のアンドロイド・オペラでアンドロイドプログラミングを担当するコンピュータ音楽家・今井慎太郎をはじめ、総勢20名近くのコラボレーターやエンジニア陣の協力を得て誕生した本作。渋谷がかつて喪った最愛の妻「マリア」をモデルとしながら、「死はひとつではない」という「THE END」以降の渋谷の一貫したテーマを具現化した作品となっている。記憶、音楽、人工知能、そして拡張された身体性の交差点に立つ新たな存在として、「アンドロイド・マリア」は舞台芸術における演者となることを目指す。

 11月5日には、都内コンサートホールにて「アンドロイド・マリア」の本格的なデビュー公演が予定されている。さらに2027年には、ヨーロッパ初演を予定している、渋谷の新作舞台作品への出演も決定。本作は英国ロイヤル・バレエ団常任振付師であり、ヴェネツィア・ビエンナーレ ダンス部門の芸術監督も務めるサー・ウェイン・マクレガーが演出を行い、建築家・妹島和世が舞台美術を担当するコラボレーション作品となる。