バルセロナのガウディ建築カサ・バトリョに現代アート空間誕生。2026年1月開館へ
バルセロナの世界遺産「カサ・バトリョ」が、新たに現代アート専用スペースを開設する。モデルニスモ建築の傑作として知られるこの邸宅の2階が改装され、2026年1月31日より一般公開。建築の記憶を生かしながら、国際的なアーティストの展覧会を年間2本開催する予定だ。

バルセロナのカサ・バトリョは、1877年に建てられ、1904〜6年にかけてカタルーニャ出身の建築家アントニ・ガウディによって大規模に改築された邸宅である。モデルニスモ建築の傑作として知られ、2005年にはユネスコ世界遺産に登録された。年間190万人以上が訪れるヨーロッパ有数の観光名所でもある。
そのカサ・バトリョの2階、約230平方メートルのスペースが、2026年1月31日から現代アートスペースとしてはじめて一般公開される。かつては住居や保存・修復作業場として使われてきたこの空間を改装・再設計したのは、バルセロナ拠点の建築事務所Mesura。年間2本の現代美術展を開催するギャラリーとして、同市の新たな文化拠点となることを目指す。
改装では、ガウディ建築の特徴である木工細工やステンドグラスを丁寧に保存しつつ、建築的記憶と現代美術創造の交差点として空間を再構築している。最大の見どころは、静かな湖面に水滴が落ちて広がった波紋を思わせる同心円模様をスクリーンプリントした、曲線的な金属天井である。ロボット技術を駆使して制作されたこの天井は、構造的要件を満たしながら、空間に個性を与えている。

「ガウディ建築に介入することは夢であると同時に、大きな責任でもあります。私たちの目標は、彼の作品に響き合う“ささやき”を加え、その宇宙を損なうことなく広げることでした」とMesuraのパートナー、カルロス・ディマスは語る。