DIC・国際文化会館による新施設、SANAAによる「ロスコ・ルーム」のデザイン構想が公開。ロスコ・チャペルとのパートナーシップも締結
DIC株式会社と国際文化会館が2030年の開館を目指す新西館施設。そこに設置される「ロスコ・ルーム」のデザイン構想が公開された。

新ロスコ・ルームは地下に設置
2025年3月末に閉館した千葉県佐倉市のDIC川村記念美術館。その後継となる新施設(以下、新西館)が、DICと国際文化会館に協業によって2030年、国際文化会館の敷地内に完成する。
新西館には、DIC川村記念美術館が所蔵する戦後アメリカ美術をはじめとする20世紀美術品のコレクション約100点が移転(*)。建築はSANAA(妹島和世+西沢立衛)が手がけ、自然と建築の融合、歴史の継承と新しい風景、知的対話・文化交流を生み出す空間の3つデザインコンセプトに、既存の本館・庭園を挟むかたちでエントランス棟・庭園棟の2棟で構成される。
なかでも注目されるのが、同館を象徴するコレクションのひとつでもあるマーク・ロスコの「シーグラム壁画」7点の展示空間だ。
「シーグラム壁画」はもともと、1950年代末にニューヨークの高級レストランを飾るために制作された連作であり、「自分の作品だけで一室を満たす」というロスコの願いが反映されたもの。その計画は実現せず、結果的に作品は世界4ヶ所に分散した。
そのうちの1ヶ所であるDIC川村記念美術館では、同作のために変形七角形の専用展示室「ロスコ・ルーム」が2008年に増築され、作品と向き合える内省的な空間は多くの人々に愛されてきた。
新西館では、新たな「ロスコ・ルーム」もSANAAが設計。DICと国際文化会館が共同で運営する常設展示室として誕生する。

新たな「ロスコ・ルーム」設計のためにテート・モダンのロスコ空間を訪問し、理解を深めたというSANAA。新「ロスコ・ルーム」はエントランス棟の地下展示室内に設置され、1階のエントランス庭園に囲まれたエントランスホール、自然光を感じられる地下のメディテーションスペースからアプローチする構造となる。新西館のメインコンセプトのひとつである親自然空間体験と、「ロスコ・ルーム」の空間体験を両立させ、ひと続きの構成を目指すという。
SANAAはこの構想について、「静かな展示環境のなか、そこを訪れる人々が作品と深く向き合える場となるよう、設計を進めてまいります」としている。


*──DICは売却によって100億円の資金確保を目指しており、すでにモネ《睡蓮》をはじめとする8作品がクリスティーズ・ニューヨークの秋季オークションウィークで約165億円で落札された。





