2026.3.17

新潮社の旧出版倉庫がギャラリー棟「soko」として3月27日にオープン。美術・工芸の7ギャラリーが入居

新潮社が創業130周年記念事業の一環として、東京・神楽坂にある旧出版倉庫を改装。美術・工芸のギャラリー棟「soko」を3月27日にオープンする。

sokoのエントランス
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 東京・神楽坂にある新潮社の旧出版倉庫。ここを改装した美術・工芸のギャラリー棟「soko」が、3月27日にオープンする。

 改装の対象となったのは、1959年に建てられた5階建てのコンクリート造倉庫だ。かつて新刊500万冊を収蔵し、日本の出版文化の隆盛を支えたこの建物は、2025年に国の登録有形文化財に指定された「産業遺産」でもある。

「soko」外観

 倉庫の内部には大量の本の荷重に耐えるための武骨な梁が無数に走り、職人の手仕事を感じさせるコンクリートの質感が残されている。この建物が約30年間の眠りを経て、建築家・中村好文の監修により、出版物の内容を立体化・体験化する拠点へと生まれ変わった。

 新たにオープンする2階フロアは、中村のデザインによる「大きな家の広間」のような共用部が特徴だ。壁に設けられた7つの引戸を開けると、新潮社の美術・工芸事業「青花」と志をともにする「Café Craftern/工藝文化振興会」「ARTISTSAN GALLERY」「莨室 LiangShi」「神楽坂商店」「Pâte à chou」「1月と7月」「M³」の7つのギャラリー・スペースにつながる。

「soko」内観

 3階フロアは先行して2024年秋にオープンしており、会員組織「青花の会」の拠点である「青花室」のほか、故・坂田和實(古道具坂田店主)が収集した工芸品を展示する「坂田室」が展開されている。「なんともないものこそ美しい」という坂田の美学を伝える場として、生活工芸運動の文化的側面を国内外に発信する場となっている。

 新潮社はこれまで小林秀雄や白洲正子らによる「文士の骨董」本などを数多く手がけてきた歴史を持つ。この「soko」の開設により、紙媒体で紡いできた伝統を空間へと拡張し、訪れる人々に新たな美の探求の歩みを提供することを目指す。