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2025.2.28

埼玉・宮沢湖畔に「ハイパーミュージアム飯能」が誕生。オープニング特別展でヤノベケンジの「宇宙猫の島」登場

埼玉県飯能市のメッツァビレッジ、宮沢湖のほとりに新たな現代美術館「ハイパーミュージアム飯能」が3月1日に開館。オープニング特別展として、現代アーティスト・ヤノベケンジによる「宇宙猫の秘密の島」が開催される。会期は3月1日~8月31日。

文・撮影=王崇橋(ウェブ版「美術手帖」編集部)

宮沢湖の上に浮かぶ《宇宙猫の島》
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 埼玉県飯能市宮沢湖のほとりにある、北欧のライフスタイルを体験できる「メッツァビレッジ」。ここに新たな現代美術館「ハイパーミュージアム飯能」が誕生した。

 この美術館は、「自然とデジタル」「キャラクターアート」を融合させた施設で、館長には、編集者、クリエイティブディレクター、アートプロデューサーである京都芸術大学大学院教授の後藤繁雄が就任している。

プレス内覧会より、左から望月潔(株式会社メッツァ代表取締役社長)、ヤノベケンジ、後藤繁雄

 オープニングを飾る特別展は、現代アーティスト・ヤノベケンジによる「宇宙猫の秘密の島」だ。ヤノベは、1990年代から「タンキング・マシーン」や「トらやん」「ラッキードラゴン」などのキャラクターの巨大彫刻をつくり続けており、現在は、GINZA SIXの中央吹き抜けで大規模なインスタレーション《BIG CAT BANG》を展示している。

 今回の展覧会では、「地球に生命をもたらした宇宙猫の物語」をテーマにした《BIG CAT BANG》の続編として、メッツァ敷地内の宮沢湖に眠り猫の巨大な浮島を出現させている。また、室内の展示は、「宇宙猫」のバックストーリーからスタートし、ヤノベが1990年の作家デビューから最近のAIを使った作品まで、立体や原画、特別映像など約80点で構成されている。

《宇宙猫の島》の展示風景より
ハイパーミュージアム飯能館内の展示風景より

 ヤノベはプレス内覧会で、「この森の豊かな自然のなかで、何を見せようと考えたときに、宮沢湖の存在が気になってじっと見ていると、幻影のように巨大な猫が島の上に眠っているイマジネーションが降りてきた」と語っている。

 また、GINZA SIXでの作品は「生命の起源」をテーマに、宇宙猫が生命を地球に運んできたという壮大な“妄想”をかたちにした作品であり、今回の作品では、「想像の起源」や「芸術の始まり」について、その“妄想”をもとにストーリーが展開されているという。

《宇宙猫の島》の展示風景より
近くから見た《宇宙猫の島》とヤノベケンジ

 湖の上に浮かぶ《宇宙猫の島》は、宇宙猫の偵察機のひとつが偶然にも埼玉の飯能に不時着したという設定。生命や人類が生まれる前の時代に、孤独な宇宙猫が絵や彫刻をつくり始め、その後、人類がその絵を発見し、洞窟画として残り、芸術の起源につながるというストーリーだ。

 本展会期中の特別な日(土日祝、大型連休など。強風などの悪天候日は不催行)には、「宇宙猫の島」上陸ツアーも実施。ボートでこの島に上陸し、猫型宇宙船内にある壁画や、バスタブ、椅子、描きかけの絵が置かれているアトリエなどを探索することができる。

《宇宙猫の島》の内部
描きかけの絵が置かれているアトリエ

 いっぽうの室内展示では、「BIG CAT BANG」のバックストーリーとともに、猫の仲間たちの立体作品や原画、絵本『トらやんの大冒険』と『ラッキードラゴンのおはなし』の原画などが展示。また、チェルノブイリや震災などの出来事から生まれた希望を象徴する「トらやん」が登場し、象の背中に子供用の映画館を乗せた《青い森の映画館》や、トらやんや宇宙猫が乗る3メートルの船をかたちにした《ラッキードラゴン構想模型》などの立体作品も紹介されている。

ヤノベケンジ「宇宙猫の秘密の島」展の展示風景より
青い森の映画館
ラッキードラゴン構想模型

 また、ヤノベケンジの個人史や時代背景を理解するために、最新作『宇宙猫の秘密の島』を含む4本のアートドキュメンタリー映像による120分のスペシャル上映プログラムも展開。親子で楽しめる「ハイパーキッズプログラム」では、子供たちがスタンプラリーを通して宇宙猫の顔を完成させるワークショップが体験できる。

展示風景より

 さらに、今年の夏には、「宇宙猫を宇宙に還すNFTアートプロジェクト」が実施され、宇宙猫を乗せたバルーンが茨城県大洗海岸から宇宙へ飛び立つという壮大なイベントが予定されている。同館は、このプロジェクトをサポートしており、宇宙から帰還した猫の展示も計画しているという。

 美しい宮沢湖畔に誕生したハイパーミュージアム飯能。自然のなかで様々な物語が息づくヤノベケンジのアートと向き合い、自らの心のなかで新たなイマジネーションを引き出してみてはいかがだろうか。

ハイパーミュージアム飯能の外観