2025.3.15

ヘラルボニーが都内初の常設店舗「HERALBONY LABORATORY GINZA」をオープン。目指すはアートの実験場

株式会社ヘラルボニーが、東京・銀座レンガ通り沿いにヘラルボニー初となる都内の常設店舗「HERALBONY LABORATORY GINZA(ヘラルボニー ラボラトリー ギンザ)」をオープンさせた。

文=橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)

HERALBONY LABORATORY GINZA外観
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 「異彩を、 放て。」をミッションに、障害のイメージ変容と福祉を起点に新たな文化の創出を目指すクリエイティブカンパニー「ヘラルボニー」(代表者:松田崇弥、松田文登)が、ヘラルボニー初となる都内の常設店舗「HERALBONY LABORATORY GINZA(ヘラルボニー ラボラトリー ギンザ)」をオープンさせた。場所は銀座レンガ通り沿いという一等地だ。

HERALBONY LABORATORY GINZA外観

 へラルボニーの昨年度の売上高は前年比1.63倍に、作家へのライセンス使用料の年間支払額は過去3年間で15.6倍に増加するなど、順調な伸びを見せている。また「HERALBONY Art Prize(ヘラルボニー・アート・プライズ)」の設立によって作家との契約はグローバルに拡大。アートの視点で経営戦略を牽引するポジションとしてCAO(Chief Art Officer)を新設し、4月には現在同社アドバイザーを務める金沢21世紀美術館の黒澤浩美が同ポジションに就任するなど、これまで以上に強固な体制を整えつつある。そんなヘラルボニーにとって、今回の常設店舗オープンは自然な流れと言えるだろう。

HERALBONY LABORATORY GINZA外観

 この店舗の 「LABORATORY(実験室)」という名称には、歴史がありながら、新たな文化を取り入れ革新を続ける銀座の街で、この場所を実験室として、異彩を放つ作家とともに社会の価値観の変容を目指すヘラルボニーの思想を発信する場にしたいという想いが込められているという。

ショップとギャラリーを併設

 店舗1階には、ショップとギャラリーが併設。作家のアトリエスペースを常設設置したショップでは、プロダクトの販売だけでなく、ヘラルボニー契約作家の生の創作活動に触れられる機会が提供される。

HERALBONY LABORATORY GINZAのショップ部分
HERALBONY LABORATORY GINZAのショップ部分
作家のアトリエスペース

 また、ギャラリーではアートの展示販売に限らず、様々な展示が予定。ギャラリーについて黒澤は次のように意気込みを語る。「銀座には著名なギャラリーが数多くある。この場所も日本の文化を支える場所になれば。売るだけではなく、作品の持つメッセージをできるだけ遠くに届けたい。作家との距離を縮める運営を心がけていく」。

ギャラリースペース
ギャラリースペース

 ヘラルボニーにとって新たな一歩となった今回の店舗。松田文登は「障害=支援という文脈を乗り越え、目に見えないフィルターを取り払うのが私たちの役割。自分たちの原点に立ち返り、いろんなものが混じり合うものを提唱していきたい」と語る。

 また松田崇弥はこの場所がゴールではなく、スタートラインだとしつつ、「誰もが知るブランドになることが、障害がある人たちのイメージを変えることにつながる」と意気込みを見せた。

 ヘラルボニーは2030年に50ヶ国での展開を見据える。新拠点を構えたいま、その勢いはさらに加速していくそうだ。