2025.3.15

空間に広がる「カーペット」。オランダの創作集団「We Make Carpets」による特別展がISSEY MIYAKE GINZA | CUBEでスタート

日常的な素材を用いて緻密で独創的なインスタレーションを制作するオランダの創作集団「We Make Carpets」。その特別展「Fold and Crease (Extended) —折るごとに、重ねるごとに広がるかたち—」が、東京・銀座のISSEY MIYAKE GINZA | CUBEで開催されている。

展示風景より
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 オランダの創作集団「We Make Carpets」による特別展「Fold and Crease (Extended) —折るごとに、重ねるごとに広がるかたち—」が、東京・銀座のISSEY MIYAKE GINZA | CUBEで始まった。会期は4月27日まで。

 We Make Carpetsは、日常的な素材を用いて緻密で独創的なインスタレーションを制作する創作集団であり、2009年に結成されて以来、そのユニークなアプローチで注目を集めてきた。16年には21_21 DESIGN SIGHTの「雑貨展」に参加し、大規模なサイトスペシフィック作品を発表。近年は、世界各地の美術館やギャラリーで展示を行い、現地の文脈に根ざした素材の使用や斬新な手法で評価されている。

展示風景より

 彼らの作品は、スポンジや使い捨てフォーク、洗濯ばさみといった身近な日用品や建築材料を使用し、膨大な数の素材を慎重に配置することで、空間に複雑で調和の取れた文様が広がる。その「カーペット」のような作品は、視覚的にリズム感を持ち、しばしば驚きの美を生み出す。また彼らの作品は、計画的に組み立てられるのではなく、即興的に共同作業を行うことで完成される。そのため、作品は毎回異なる表情を見せ、見るたびに新たな発見がある。

 本展では、昨年ミラノの旗艦店ISSEY MIYAKE / MILANで発表されたインスタレーション「Fold and Crease」を拡張しながら、新たに制作された作品が紹介されている。ミラノでも展示された《Skewer Carpet 2》は、手作業で6万本の竹串の先端に色を付けて並べた作品で、イッセイ ミヤケの服づくりに宿るクラフツマンシップやテキスタイルの特性を反映させながら、空間に新しい表情を加える。

展示風景より、《Skewer Carpet 2》

 また、この作品は、平面でつくられたものが、重みを受けて立体的な形状に変化する様子が特徴であり、展示するたびに異なる表情が現れる。展示空間との調和が重要視される作品のフォルムは、まるで呼吸しているかのように見え、連綿と広がっていくランドスケープのようにも見える。

展示風景より

 いっぽうの「Pin Carpet」シリーズは、スポンジをベースに、服づくりの基本となる道具であるまち針をシルバーとゴールドの2色で刺した小型の作品だ。スポンジの歪みが、針が開いたり閉じたりする微細な動きを生み出し、その表現が作品に繊細な感情を与えている。

展示風景より、「Pin Carpet」シリーズ
展示風景より、「Pin Carpet」シリーズ

 We Make Carpetsは本展の内覧会で、次のように話している。「イッセイ ミヤケとの協業はとても光栄で、ブランドに強く惹かれています。また、このスペースは非常に素晴らしく、展示作品の一部はすでに昨年ミラノで展示されましたが、この作品をこちらに持って来ることができたことが嬉しいです。そして、これをさらに拡大した展示を考えることができるのかという問いに対して、そうした新たな試みができたことを嬉しく思います。」

 日常的な素材に潜む美しさを引き出し、それが空間に新たな命を吹き込むような体験をつくり出すWe Make Carpets。その作品をぜひ会場にて楽しんでほしい。

展示風景より