「モーリス・ユトリロ展」(SOMPO美術館)開幕レポート。ユトリロの画業から見える作家本来の姿とは?
東京・新宿にあるSOMPO美術館で「モーリス・ユトリロ展」が開幕した。没後70年を記念して開催される本展では、ユトリロの初期作品から晩年の作品までが紹介される。会期は9月20日〜12月14日。

東京・新宿にあるSOMPO美術館で「モーリス・ユトリロ展」が開幕した。没後70年を記念して開催される本展は、ポンピドゥー・センターの協力のもと、作品約70点と、アーカイヴを管理するユトリロ協会から提供された資料を通して、ユトリロの画業をたどるものとなる。会期は9月20日〜12月14日。
モーリス・ユトリロ(1883〜1955)は、20世紀初頭のパリの街並みを描いたことで知られる風景画家。ユトリロは画家シュザンヌ・ヴァラドンのもとに生まれたが、7歳のときにスペイン出身の画家・批評家ミゲル・ウトリリョ(ユトリロ)に認知され、同じ姓ユトリロを名乗りはじめる。中学校卒業後から発症したアルコール依存症が悪化するなど、複雑な幼少期を過ごしたが、療養の一環としてはじめた絵画制作が、のちの彼の人生を変化させる。
ユトリロの絵画様式は、その作風によって3つの時代に分類することができる。本展は、その時代ごとに章立てをした全3章で構成される。過去3回ユトリロを取り上げた展覧会を開催した同館は、ユトリロの画業におけるエピソードが印象的であるうえに、画家自身による自己模倣のような行動が多くされたことから、本来の姿とは異なる「モーリス・ユトリロ」像が確立されている可能性もあるという。本展では、改めてユトリロが残した言葉などを交えながら、5つの独自の切り口によって、従来の「ユトリロ像」を超えた本来のモーリス・ユトリロの姿を明らかにすることを試みる。