「正倉院『THE SHOW』」が東京で開幕。伝説の香木「蘭奢待」の香り再現も
「正倉院」とその「宝物」を、これまでとは異なる新しいアプローチで紹介する展覧会「正倉院『THE SHOW』-感じる。いま、ここにある奇跡-」が、宮内庁正倉院事務所全面監修のもと、上野の森美術館で始まった。

奈良・東大寺旧境内にあり、9000件もの宝物を1300年近く守り伝えてきた正倉院。毎年秋に宝物を一般公開する「正倉院展」は、多くの人々で賑わうことで知られている。その「宝物」をこれまでにない方法で紹介する展覧会「正倉院『THE SHOW』-感じる。いま、ここにある奇跡-」が、上野の森美術館で開幕を迎えた。本展は大阪からの巡回。
本展の監修は宮内庁正倉院事務所。同事務所所長の飯田剛彦は「正倉院は現代まで勅封による宝物管理がなされているのが大きな特徴だが、それゆえに現物公開の機会は限られるというジレンマがある。この展覧会であらゆる角度から宝物の魅力を味わっていただければ」と語る。
本展キーワードとなるのは、3Dデジタルデータ、再現模造、そしてアーティストコラボレーションだ。

国内展覧会初のスクリーン塗料も
正倉院事務所は宝物の正確な情報を後世に残すため、2019年からTOPPANと協業。最新のテクノロジーを用いて360度から宝物のスキャンを行い、高精細な3Dデジタルデータを取得してきた。
本展では3Dデジタルデータに演出を施した展示により、宝物の細部や質感をよりリアルに紹介。約12Kという高精細映像を高さ約4メートル、幅約20メートルという巨大スクリーンに映し出すことで、没入感ある鑑賞体験が可能だ。なお、スクリーン塗料には世界で初めてナノ技術を応用して開発された「Immersive Magic Wall」が国内展覧会で初めて導入された。
