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2025.10.31

「ポケモン天文台」(相模原市立博物館)会場レポート。ポケモンと迫る宇宙の秘密

ポケモンとともに宇宙の謎を学べる企画展「ポケモン天文台」が、神奈川・相模原の相模原市立博物館で開催されます。会期は11月1日〜2026年1月12日。全国の博物館などへの巡回を予定しているこの企画の、こけら落としとなる本展をレポート。

文・撮影=安原真広(ウェブ版「美術手帖」副編集長)

展示風景より、ピカチュウとコスモッグ
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 自然科学研究機構国立天文台と、ポケットモンスターをプロデュースする株式会社ポケモンが連携した、宇宙の謎を学べる企画展「ポケモン天文台」が神奈川・相模原の相模原市立博物館で開催される。会期は11月1日〜2026年1月12日。全国の博物館などへの巡回を予定している本企画のこけら落としとなる本展をレポートする。

第3章「見えない宇宙を観る」展示風景より

 本展は地球から宇宙、そしてまた地球へと返ってくる、プロローグと5章での構成となっている。プロローグ「ポケモン天文台へようこそ」では、望遠鏡をのぞくピカチュウと、ガス状の体を持ち、光を吸収するという宇宙との関係性を想起させるポケモン「コスモッグ」のフィギュアが置かれており、来場者の気分を盛り上げる。そして、第1章「天文台から宇宙へ」は導入として、地上の天文台から宇宙の不思議に向かう旅をポケモンたちとイメージする映像を上映することで、展覧会の大まかな構成意図を知ることができる。

プロローグ「ポケモン天文台へようこそ」

 続く第2章「身近な宇宙に迫る」では、地球に暮らす我々にとって身近な月や太陽、太陽系惑星の特徴を、ポケモンの生態と呼応させながら迫る。例えば各太陽系惑星の特徴の紹介では、同様の特徴を持つポケモンを紹介することで理解が深まるようになっている。

第2章「身近な宇宙に迫る」展示風景より

 第3章「見えない宇宙を観る」では、太陽系の外側にある銀河系や、宇宙からの光、恒星が生まれる過程などをポケモンとともに紹介。太陽系外惑星の特徴をポケモンと照らしたり、星の進化の過程をポケモンの進化に見立てたりといった展示が、ポケモンの模型とともに展開される。

第3章「見えない宇宙を観る」展示風景より
第3章「見えない宇宙を観る」展示風景より

 第3章と第4章のあいだには「メテノトンネル」が設けられている。ここでは、ながれぼしポケモンの「メテノ」の生態を通して隕石への理解を深めつつ、宇宙から地球へと意識を戻していくこととなる。

「メテノトンネル」展示風景より

 第4章「生命の星 地球」では、多様な生態を持つポケモンを参照しつつ、地球の自然の豊かさを改めて考える。空中に展示された何億年もオゾン層の中で生き続けている伝説のポケモン「レックウザ」の模型とともに、地球とは何かに思考を巡らせる。

第4章「生命の星 地球」展示風景より

 最後となる第5章「未知なる謎に挑む」では、いまだ謎が多いポケモンとともに、まだ解明されていない宇宙の謎を鑑賞者に問いかける。地球外生命体の存在についてや、そもそも生命はどこから来たのかなどを、ポケモンの不思議とともに考える。

第5章「未知なる謎に挑む」展示風景より

 会場ではポケモンとともに国立天文台やJAXA、国立科学博物館が所蔵する貴重な模型や天体画像が展示されている。ポケモンを入口に宇宙への興味を広げられる、充実した展覧会となっている。

展示風景より、鉄隕石