2026.1.10

「NAKED meets ガウディ展」(寺田倉庫G1 ビル)開幕レポート。世界初公開資料と最新テクノロジーを通じて、ガウディの創造世界を知る

東京・天王洲にある寺田倉庫G1 ビルで、「ガウディ没後100年公式事業NAKED meets ガウディ展」がスタートした。会期は3月15日まで。

文・撮影(*除く)=三澤麦(ウェブ版「美術手帖」編集部)

エリア7展示風景より、「サグラダ・ファミリア」の模型と設計図のレプリカ
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 クリエイティブカンパニーNAKED, INC.(以下、ネイキッド)とガウディ財団によるワールドツアー企画「ガウディ没後100年公式事業NAKED meets ガウディ展」が、東京・天王洲の寺田倉庫G1 ビルでスタートした。会期は3月15日まで。

 本展は、スペイン・カタルーニャ出身の建築家アントニ・ガウディ(1852〜1926)の没後100年と、サグラダ・ファミリアの中心的存在である「イエスの塔」の完成を記念して開催される公式展覧会だ。会場では、ガウディ財団の協力のもと、ガウディの手記や直筆の書簡、制作道具、未公開資料、模型、スケッチなど、学術的にも極めて貴重なコレクションを網羅的に展示。これらの財団所蔵資料が同時公開されるのは世界初となる。さらに、体験型アートで知られるネイキッドの表現を通じてガウディ建築の本質に迫ることで、学術と体験の両側面からその魅力を味わえる構成となっている。

展示風景より

 本展の実現は、ガウディ財団がネイキッドと世界初となる共同事業契約を締結したことに始まる。開幕に先立ち、ガウディ財団会長のカルロス・カナルス・ルーラと、ネイキッド代表の村松亮太郎が、本展の見どころや共同事業の意義について語った。

 「ガウディ財団は、アントニ・ガウディの遺産を保存し、次世代へ継承することを使命として活動してきた。展覧会は、とくにガウディへの関心と情熱が高い日本からスタートできることが重要だと考えており、本展を通して、ガウディの魅力や私たちの知見を発信できればと思います」(カナルス・ルーラ)。

 「偉大な建築家として知られるガウディは、じつはアーティストであり詩人でもあった。そのボーダレスな創作姿勢は、ネイキッドの活動とも通じるものがある。貴重な資料とテクノロジーを用いてガウディの人間性に光を当て、その自由な世界観を感覚的に体験できる機会を生み出したいと考えた」(村松)。

エリア3展示風景より、「とけあう建築たち」。19世紀末のバルセロナに存在した様々な様式の建築物。鑑賞者が各建築に手を触れることで、街のなかで息づくような姿が立ち上がる

貴重な資料とテクノロジーで知る、ガウディの創造世界

 展覧会は全7エリアで構成されている。前半では、ガウディが幼少期を過ごした自然豊かな環境での体験が、彼の思想や創作姿勢にどのような影響を与えたのかを、資料やレプリカを通して紐解いていく。

エリア2展示風景より。ガウディが自然のなかにある様々な形状からインスピレーションを受けたことがわかる構造物のレプリカも展示されている
エリア2展示風景より、タイルのレプリカ

 中盤では、学生時代を過ごしたバルセロナでの活動、生涯のパトロンとなるエウセビ・グエル伯爵との出会い、そして工房で行われた新たな建築様式を生み出すための数々の実験を紹介。体験型展示を交えることで、ガウディの思考や試行錯誤を感覚的に理解できる構成となっている。

エリア3展示風景より、手前は「パラニンフォ:短手断面図」(1878)。ガウディが建築学部の卒業制作として手がけたもの
エリア3展示風景より
エリア3展示風景より、「ガウディの3D立体視メガネ」と「3D立体写真」。ガウディは、建造に着手する以前から、より立体的に構想するための試行錯誤を重ねていたことがわかる

 ガウディの独創的な建築を支えた重要な要素のひとつが、彼自身が考案した「ポリフニキュラー模型(逆さ吊り模型)」だ。重力などの物理法則から導かれる必然的な形態美を応用したこの手法は、「自然によって設計される建築」というガウディの理想を体現するものでもある。

 本展では、この逆さ吊り模型の考え方をインタラクティブに体験できるコンテンツが用意されている。AIを活用したこの展示では、タッチパネルで建築の骨格を組み立てると、即座に建築イメージが生成され、カーブスクリーンに投影される。完成したイメージはQRコードでダウンロード可能で、ガウディの設計思想を体感的に理解し、記憶として持ち帰ることができる点も魅力だ。

エリア4展示風景より、「ポリフニキュラー模型」を体験できるインタラクティブ作品
エリア4展示風景より、「ポリフニキュラー模型」を体験できるインタラクティブ作品

 後半では、財団が所蔵する貴重なコレクションを、実物またはレプリカで展示。本展でもとくに注目されるのが、ガウディの手記の実物が世界初公開されている点だ。そこには、自然へのまなざしや設計・制作に向き合う姿勢が記されており、「サグラダ・ファミリア」をはじめとする後年の建築思想へとつながる思考の一端を読み取ることができる。

エリア5展示風景より、手前はガウディが手がけてきた建築の模型。奥には扉の取っ手や椅子など、実際に触って体験できる展示も
エリア5展示風景より、中央は「ガウディの手記」。周囲には、ガウディの建築への向き合い方がうかがえるトピックが和訳され、設置されている

 また、ネイキッドならではのイマーシブ映像作品では、ガウディの主要建築を通してその歩みをたどることができる。1936年のスペイン内戦で多くが焼失した模型や設計図のレプリカも展示されており、「イエスの塔」の完成に思いを馳せながら、カタルーニャの地へと想像を巡らせる時間となるだろう。

エリア6展示風景より。サグラダ・ファミリアが生まれ、変化し、受け継がれてきた軌跡を没入空間のなかでたどる(*)
エリア7展示風景より、「サグラダ・ファミリア」の模型と設計図のレプリカ

公式アンバサダー/展示ナビゲーターの伊野尾慧さんも登壇

 本展の公式アンバサダー兼展示ナビゲーターを務めるのは、Hey! Say! JUMPの伊野尾慧だ。明治大学理工学部建築学科出身の伊野尾によるナビゲーション音声では、ガウディの創造性や建築の面白さがわかりやすく解説されている。

伊野尾慧(Hey! Say! JUMP、*)

 収録について伊野尾は、「建築学科に在籍していたものの、ガウディの建築は実際に見たことがなかった。実際に訪れたことのあるメンバーの薮宏太や有岡大貴から話を聞き、想像を膨らませながら収録に臨んだ」と振り返る。

 さらに来場者へのメッセージとして、「ガウディは自分にとって歴史上の人物という存在だったが、本展を通して、試行錯誤を重ねながら建築を生み出していったことがよくわかった。とくに印象に残ったのは、学生時代に制作した断面図のレプリカで、自分が学生時代につくったものとは比べものにならない完成度だった。そうした視点でも楽しめる展覧会だと思う」「体験型展示も多く、小さなお子さんから大人まで幅広い世代が楽しめるはず」と語った。

伊野尾慧(Hey! Say! JUMP、*)。作品はエリア5の生命のかたち《光をまとうトカゲ》
伊野尾慧(Hey! Say! JUMP、*)